フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
ザギトワの世界選手権不振の理由。
思春期ならでは、必然の悩みとは。
posted2018/04/01 11:30
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
ISU/ISU via Getty Images
フィギュアスケートでは、何が起きるかわからない。
この文章を、これまで何度使ってきたか覚えていないほどである。だがそれ以外にどう形容して良いのかわからない、ミラノ世界選手権女子だった。
平昌オリンピックのトップスケーターの多くが欠場したこの世界選手権で、確かなことが2つだけあった。
アイスダンスは、パパダキス&シゼロンが3度目の世界タイトルを取るであろうこと。
そして、女子は平昌オリンピックで金メダルをとったアリーナ・ザギトワが優勝するであろうことだった。
ところがパパダキスたちは予定通り優勝したものの、アリーナ・ザギトワはフリーで3回転倒して、5位に終わった。
いったいザギトワに何が起きたのか?
シーズン前半には、SPでジャンプを失敗してフリーで盛り返す、ということを何度か繰り返していたザギトワ。だから決して、元々エフゲニア・メドベデワのようにミスが驚くほど少ない、という選手ではなかった。
だがGPファイナルあたりから徐々に調子を上げていき、平昌オリンピックでは、団体戦、個人戦を通して一度もジャンプの転倒はなかった。個人戦のフリー『ドン・キホーテ』では、最初の3ルッツの着氷でちょっともたついてソロジャンプになったものの、二度目の3ルッツに3ループをつけてみごとにリカバリーした。
筆者自身も含め、あの江陵アイスアリーナでのザギトワの演技を生々しく記憶している人々にとって、ザギトワはまるでサイボーグのように正確なジャンパーだという印象ができあがっていた。
だから女子は優勝はザギトワで、2位、3位に誰が入るかという勝負になるだろうと予想していた。