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<フィギュア世界選手権詳報>宇野昌磨/樋口新葉「執念と逆襲の銀メダル」 

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野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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photograph byphotographs by Asami Enomoto

posted2018/04/03 06:00

<フィギュア世界選手権詳報>宇野昌磨/樋口新葉「執念と逆襲の銀メダル」<Number Web> photograph by photographs by Asami Enomoto
オリンピックシーズンラストを飾る世界選手権。
大荒れの展開の中、宇野は粘りと根性の滑りを見せ、樋口は力を全て出し切り、涙の銀メダルを獲得した。
4年後に向けて、日本勢の進化は加速していく。

 オリンピックシーズンの世界選手権は、4年に一度の特別な“心の戦い”である。五輪で経験した喜び、悔恨、そして出場できなかった無念。平昌五輪から1カ月後、ミラノで開かれた今季の世界選手権もまた、それぞれの信念の強さが光る大会となった。


 男女とも、試合はこれ以上ないほどに荒れた。男子は平昌五輪王者の羽生結弦と銅メダルのハビエル・フェルナンデスが欠場。宇野昌磨は優勝候補の筆頭と目されていた。

 異変はショートプログラムの2日前に起きた。新しいスケート靴が足にあわず、宇野の右足甲に激痛が走る。練習を切り上げ、背負われて病院へ。骨折ではなかったが、痛み止めの注射を打たれた。

「このままの状態が続いたら、僕が出ることによって色々な人に恥をかかせてしまうと思い、欠場も頭をよぎりました」

 世界選手権は来季の同大会の出場枠もかかっており、エースが欠場する訳にはいかない。ショートは右足甲に負担がかかる4回転フリップを回避し、3回転サルコウを入れる、難度をグッと下げた構成に変えた。


 ショート本番は、ネイサン・チェン、ミハイル・コリヤダの100点を超える好演を見て、気持ちを奮い立たせてからリンクに降りる。すると驚いた。足が痛くないのだ。もちろん試合の高揚感による効果もあっただろうが、軽やかで雄大な4回転トウループを成功させて演技は始まった。宇野の場合、むしろ「身体が動きすぎる」ケースだ。難度を下げた3回転サルコウは力がコントロールできず、着氷が乱れた。

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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