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大坂なおみが「クール」と認める男。
西岡良仁、大ケガからの逆襲なるか。
posted2018/03/28 07:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Getty Images
開催中のマイアミ・オープン。錦織圭が3回戦でファンマルティン・デルポトロに2-6、2-6の完敗を喫したことは、2人それぞれの現状を踏まえれば予想できなくもなかったが、それでもやはりショッキングだった。時間はかかる。手首のケガでトータル5年もの間苦しんだデルポトロが、ネットの向こうからその覚悟を説いているように思えた。
負傷による長期のツアー離脱から復帰後の歩みが、そうトントン拍子といかないのは錦織だけではない。
昨年のマイアミで膝の靱帯を負傷し、ベッドの上からコートに戻って来るまで9カ月を要した西岡良仁。負傷の直前、絶好調だった昨年3月に稼いだアカプルコでのベスト8の110ポイントとインディアンウェルズ4回戦進出の98ポイントを、1年後のここで立て続けに失ったことで、1月の復帰時に166位だったランキングは現在374位になってしまった。
全豪でシード選手を撃破したが……。
「けっこうヤバいですね。このランキングだとチャレンジャー大会でも予選から出ないとダメだし、アメリカだとワイルドカードもくれない。下手するとフューチャーズまで落とさないといけなくなる。今後、どうやって大会を選んでいくか迷っています」
インディアンウェルズ1回戦で世界ランク102位のマルコス・バグダティスに敗れたあと、そう話した。ブランクの間も「調子がいいときのイメージのまま止まっている」と驚くほどポジティブだった西岡も、さすがに前途に不安があるらしい。
復帰後2大会目の全豪オープンでいきなり第27シードのフィリップ・コールシュライバーを破ってみせたときには、この調子なら66位というプロテクト・ランキングを使える間に、もといた場所へかなり近づけるのではないかと思えたものだ。
プロテクト・ランキングとは、ケガにより6カ月以上戦列を離れた場合、最後に出場した大会から3カ月間の平均ランキングを、実際のランキングとは別に保有し、復帰後にそのランキングを使って大会エントリーができるというシステムだ。1年以内の離脱の場合、使用できるのは復帰から9カ月間、また上限は9大会とされる。