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就任3年目でVリーグファイナルに。
吉原知子監督の厳しさでJTが変貌!
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2018/03/20 10:30
2015年6月に監督就任後、V・チャレンジリーグIで優勝し、V・プレミアリーグに昇格。昨季は4位、今季は2位と着実に力を付けている。
疲れがピークの状態でのロングパス。
ただやらせるのではなく、練習を通して意味を伝える。たとえば、どれだけ練習が長引いたとしても必ず最後はセッターと他のポジションの選手が2人1組になり、コート横の9m幅に向き合って立ち、ロングパスで締めくくる。厳しい練習の最後、疲れがピークの状態では小手先の技術だけではごまかせない。
体の使い方や基礎体力、トレーニングに至るまですべてがつながっていないと難しい、と実感させることが目的であると同時に、それがいかに大変か、セッターだけでなく他のポジションの選手とコンビになって体感することで、互いを思いやることにもつながっていく。
それはチームスポーツなのだから、自己を通すばかりではなく相手を考え、時には自分が変わらなければならないと理解させるために不可欠なもの、というのが吉原の考えでもある。
厳しい指導でも、全部納得できる。
もちろん、パス練習だけに限ったことではない。たとえばスパイク練習時にもコンビが合わないのにそのまま受け流し、「トスが悪いから打てない」と少しふてくされた素振りを見せる選手には容赦なくこう言った。
「本当にトスだけの問題なの? あなたの準備も悪いよね。要求するばかりで自分は何かを変えたの? 同じ助走で同じジャンプをして、いいトスを上げてくれ、というのは違う。どちらもうまく行かない時にトスのせい、アタッカーのせい、と思うだけで本気でお互いを思いやって合わせようとしてこなかったから、ずっと合わなかったんでしょ」
日々の練習から自分が何をすべきで、何が求められているのかを理解し、実践する。
吉原の現役時代と同じミドルブロッカーで、今季は主将も務めた奥村麻依が言った。
「周りの人からしたら、トモさんって怖いイメージのほうが強いかもしれないけれど、全然そうじゃない。厳しいのはもちろん厳しいですけど、言っていることは全部納得できるし、勝つためには本当にそこまでやらないとダメなんだ、というのを改めて教えてくれたのがトモさんでした」