球道雑記BACK NUMBER
ロッテ投手陣で最多登板の33歳。
大谷智久の憧れは先輩・小宮山悟。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNanae Suzuki
posted2018/03/12 07:00
昨季のチーム防御率は12球団ワーストの4.22。立て直しに向けて今年も大谷の奮闘は欠かせない。
若い頃の練習は、もうできない。
昨年は秋季キャンプが終ってオフに入ると、年明けまで走り込みを中心とした体調管理を怠らず、シーズン開幕に備えた。
「ランニングをしないと下半身にも力がついていかないので、そこを重点的に」
それでもトヨタ自動車に在籍していた当時と比べると、量自体は減ってきたと大谷はいう。むろんオーバーワークを考慮してのことだ。
「基本はまず1時間くらい汗を出す感じで走って、そこからインターバル系ですね。トヨタにいた頃は1000mを7本とか毎日やっていたんですけど、今はそこまで走っちゃうと怪我にも繋がるので」
今年も年明けから23歳になる二木康太と、29歳になる阿部和成と共に自主トレを行ったが、そこでも若い2人のペースに付き合うことなく自分のペースを貫いた。
「ここ3年くらいでだいぶ自分の体の状態が分かってきましたね。自分の体と相談しながら、無理するところは無理をして、これくらいはやっても大丈夫だなというのは様々な状況を見ながら判断して。そこは若い二木や阿部には合わないと思いますし、彼らも自分の体と相談しながら、自由にやってもらえればいいのかなって思います」
最終的にはロングができる位置に。
この3人で自主トレを行うのは、今年で2年目となる。
大谷のトレーニング量や体調管理への強い意識は二木や阿部の参考になっているし、そうなることで自身に相乗効果があるんだと彼は話す。若い2人への感謝の意も忘れない。
プロ入りから過去8年間、先発から抑え、ロングリリーフに至るまで、起用法に注文をつけることなく全てのポジションをこなしてきた。
「どこで投げたいとかも全然ないです。一軍で投げられればどこでもって感じで。最年長といえど、僕もまだ若いのでバリバリ投げなければいけないですし、最終的には年々積み重ねてロングができるような位置になっていたい。そうなれば一番良いなと思ってやっています。
そこで3~4イニングを投げられるピッチャーがいればチームも楽になると思いますし、そこに誰かがいることによって後ろが自覚を持って投げれるんだと思うし、当然、チームも上手く回ります。各々の負担も少なくなりますからね」
自身のことよりも組織全体を考える。監督の立場からすれば、これ以上に使い勝手の良い選手はいない。なるほど重宝されるはずである。