球道雑記BACK NUMBER
ロッテ投手陣で最多登板の33歳。
大谷智久の憧れは先輩・小宮山悟。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNanae Suzuki
posted2018/03/12 07:00
昨季のチーム防御率は12球団ワーストの4.22。立て直しに向けて今年も大谷の奮闘は欠かせない。
憧れは早稲田の先輩・小宮山悟。
彼には目標としている人物がいる。
かつて千葉ロッテで同じ背番号14を付けていた早稲田大学の先輩の小宮山悟だ。
「(目標にしたのは)入団したときからですね。小宮山さんの背番号を僕は受け継がせてもらっているので。小宮山さんは45歳まで現役を続けましたが、40歳を過ぎても現役を続けるのはなかなか難しいことで、簡単に出来ることじゃありません。僕の中ではそんな小宮山さんこそが目指すべき場所なのかと」
先人への尊敬を持って、そう言った。
「僕は本当に(投げるポジションは)どこでも良いと思ってやっています。それよりも一軍にいることが使命だと僕は思っているので。自分もそこ(一軍)でやっていないと楽しくないですし、本当の意味で相手打者を抑えたときの感覚というのは一軍でしか味わえないですから」
「僕は元々、脇役でいいやと」
高校から数々の修羅場をくぐって来た男は何度も自問自答を繰り返し、今にたどり着いた。だからこそ彼の生き方にはぶれがない。
「僕は元々、脇役でいいやと思ってやっています。運良く高校(報徳学園)で優勝して、大学(早稲田大学)で準優勝、社会人(トヨタ自動車)でも優勝していますけど、あまり自分で勝ったという感覚はないですし、仲間に打ってもらったり、守ってもらったり、そうして周りの支えで勝たせてもらったと思っているので、どちらかといえば自分もそういう支えとなる存在になりたいと考えています」
私欲を捨て、こだわりを捨て、チームのために献身的に働く姿は美しくさえ感じる。なかなか真似が出来ないところだが、それを当たり前のようにするところが彼の凄さでもある。