ミックスゾーンの行間BACK NUMBER
名古屋の超大物FWジョーは剛柔自在。
恩師はモイーズ、風間監督にも適合。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byGetty Images
posted2018/03/07 08:00
早くもセレソンクラスの質を見せつけたジョー。今季Jリーグの得点王有力候補だ。
プレミアで鍛えた“剛”も併せ持つ。
プレシーズンに行われた浦和レッズとの練習試合では、相手DFの頭上からヘディングを叩き込むゴールを挙げていた。とはいえ、そこはカナリア軍団でプレーし、ブラジルW杯にも出場したストライカー。第一の武器は技術であると、胸を張る。
一方、開幕戦で見せた“剛”のプレーも印象的だった。
後方から放たれたロングボールに頭で競り合うこともあれば、正確に胸でトラップしマイボールにする巧みな体の使い方も見せた。そんな動きを目にして、ジョーが語っていた、あるターニングポイントを思い出した。
多彩な経歴の中で、選手としての彼に最も影響を与えた舞台があった。それは、イングランド・プレミアリーグだった。
「プレミアは本当にハイレベルなリーグでした。自分の中では、世界で最もプレーすることが難しいリーグだと感じています。ロシアから移籍した当初は自分の体つきも華奢で、パワーが足りなかった。サッカー自体もスピードが必要で、フィジカルコンタクトも激しい。初めは体の使い方に本当に苦労しました」
あのモイーズに鍛え上げられた。
そんなジョーに影響を与えた監督がいた。
現在ウェストハムを指揮する、デイビッド・モイーズである。
ジョーがエバートンに移籍した当時の監督で、後にサー・アレックス・ファーガソンの後をついでマンチェスター・ユナイテッドを指揮した際には、香川真司を指導したことでも知られている。
モイーズのサッカーは当時から縦に速く、ロングボールも多用する攻撃スタイルだった。フィジカル重視の戦い方に香川が苦しんだという過去の事実もあるが、ジョーはその環境が自分の弱点を補ってくれたと述懐する。