ミックスゾーンの行間BACK NUMBER
名古屋の超大物FWジョーは剛柔自在。
恩師はモイーズ、風間監督にも適合。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byGetty Images
posted2018/03/07 08:00
早くもセレソンクラスの質を見せつけたジョー。今季Jリーグの得点王有力候補だ。
トルコ、UAE、中国と難しい時期ばかり。
その後はイングランド、トルコ、一度ブラジルに帰国。UAE、中国とプレーし、昨年再度ブラジルに戻って大活躍。あらためて、世界中を股にかけてプレーしてきた経歴である。
ジョーが過去を振り返る中で、何度か出てくるフレーズがあった。
「その時期は家族と離れ離れになって、僕自身も難しい時期を過ごしていた」
先ほどのロシアでのホームシックだけでなく、結婚後もプレー環境の理由で“単身赴任”を強いられることが多かった。面白いのは、「難しい時期」とオブラートに包みながらも「時にはお酒を飲みに出かけることもあった」と正直に明かすところだった。
例えば、トルコのガラタサライには約半年しか在籍しなかったが、その時も彼にとっては「難しい時期」だったという。それを聞いて、こちらも「確かにイスタンブール(ガラタサライの本拠地)は楽しい街ですよね」と返すと、思わずニヤリと笑っていた。彼の嘘のつけない性格が、どこか可愛らしく見えた。
「僕は大柄だけど持ち味はテクニック」
ガンバ大阪との開幕戦。そこでジョーが見せたのが、柔剛併せ持つプレーだった。
名古屋の1点目は同郷のテクニシャン、ガブリエル・シャビエルが左足でキレイに決めたシュートだった。アシストをしたのはジョー。風間八宏監督が目指すパスを繋ぐ攻撃的なサッカーらしく、中盤から敵を崩してペナルティエリアの左側にいたジョーにボールが渡る。
彼にとっては左足でそのままシュートを打てる場面。しかし、一度シュートモーションに入ると見せかけて、寄せるDFの裏をかくパスを選択。柔らかいタッチで中央に走り込むシャビエルにボールを届け、ゴールを生んだ。
風間監督が目指す攻撃スタイルについて、ジョーはこんなことを話していた。
「名古屋のサッカースタイルはヨーロッパに似ています。私たちブラジル人はポゼッションやパスサッカーにはもちろん馴染むことができます。風間監督のサッカーは自分にも合うし、自分の特徴も基本は技術を生かすプレーだと思っています。
僕は大柄ですが、昔から前線に張っているだけの従来のセンターFWというイメージではなく、常に動きながらプレーに関わっていくスタイルです。自分の持ち味は、テクニックです」