マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフト候補投手を東芝で発見。
岡野祐一郎は決して“炎上”しない。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2018/03/04 09:00
U-18の高校日本代表にも選ばれたことがある岡野祐一郎。プロでもその実戦力は通用しそうな気配がある。
実戦力が評価されれば、ドラフト上位も。
この日の試合ではほとんど投げなかったが、落差の大きなカーブという“緩”もある。
とんでもなく速いボールはなくても、球速帯の幅の大きさと、スライダー、カットボール、シュートで両サイドに出し入れできる技術。燃え過ぎないメンタリティーと用心深さ。
今のプロなら、野村祐輔(広島)、東浜巨(ソフトバンク)の丁寧なピッチングが重なる。「先発して試合後半まで試合を作れるタイプ」として、今季、都市対抗のような大きな舞台でどのような大黒柱ぶりを見せてくれるのか。高度な実戦力が発揮されるようならば、ドラフト上位候補だ。
監督が期待する「何もしていない選手」。
投手・岡野祐一郎と同期入社の岡部祐太外野手(23歳・175cm72kg・右投左打)は、今年の東芝の「リードオフマン候補」と期待されている。
旭川大高当時の実績はほぼなし。國學院大でも3年からリーグ戦に出場するようになったものの、4年春のリーグ戦での「打率2位」でようやく頭角を現したばかりの無名選手。東芝1年目の昨シーズンも、「ほとんど何もしていない選手」(平馬監督)なのだ。
ならば、そんな“先物買い”にどうしてそんなに大きな期待をかけるのか。
野球と向き合う時のガッツと快足。平馬監督はそう言いきる。
この日は「9番・ライト」でスターティングメンバー。最初の打席ではチャンスを広げる一、二塁間ヒットを放ったが、その後の2打席ではサウスポーの変化球に戸惑って内野ゴロを2つ。しかし4打席目にストレートの四球をもぎ取ると、初球に二盗を敢行。これがすばらしかった。
初対戦のサウスポー。小さなジェスチャーで一塁ベースコーチからセットポジションのクセを教わると、初球、完全にモーションを盗んだスタートをきって、あっさり二塁ベースを奪った。
失敗を怖れて、妙に慎重になり過ぎないのがいい。今はとにかく「動ける!」というこの思い切りが何よりの魅力だ。