マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフト候補投手を東芝で発見。
岡野祐一郎は決して“炎上”しない。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2018/03/04 09:00
U-18の高校日本代表にも選ばれたことがある岡野祐一郎。プロでもその実戦力は通用しそうな気配がある。
スーパーキャッチは見事、その後が……。
ライトからセンターに移ってすぐ、左中間に伸びたライナーをランニングキャッチ。捕球の瞬間グニュッと伸びた左腕と、その先端にあるグラブから最後まで目を離さなかった“球際の強さ”がスーパーキャッチの勝因だった。
さらに、その直後、今度は右中間に同じようなライナーだ。右打者の右中間への打球はきれていく。難しい打球だったが、やはり球際の強さを発揮して捕球したその瞬間まではよかった。
カットに入った内野手に中途半端に投げた返球が転々として、二塁ランナーの三進を許した。
せっかくの連続ファインプレーだったのに、この“意志薄弱”なハンパな返球が試合の流れを変えた。
次打者の2球目のショートバウンドが、捕手のプロテクターにはねてパスボールになる間に、さっき三塁に進んだ走者が生還。1点差になってしまった。
試合はなんとか1点差で逃げ切ったからいいかというと、そういうものじゃない。
野球のレベルが上がれば上がるほど、プレーの切れる直前のワンプレーの“メリハリ”が重要になってくる。
試合の流れを相手に渡さない。それももちろん大きいし、そこでカットへ意志のある返球をしてビシッときめておけば、次に同様な展開になった時に、ランナーの足が止まる。相手を躊躇させる。それが「攻めの守り」というものだ。
たまたま幼い頃からよく知っている岡部祐太外野手に、試合後私から叱責が飛んだのは、言うまでもない。