野球のぼせもんBACK NUMBER
寺原隼人が17年目のシーズンへ。
直球に求めるのは速さより“動き”。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/02/28 07:00
高卒1年目となる'02年は14試合を投げ6勝2敗1セーブ、防御率3.59。最速157kmの豪腕で寺原フィーバーを巻き起こした。
寺原の存在がチームを助ける、という予感。
「語弊があるかもしれないけど、別に先発を目指してやっているわけじゃない。言われたポジションで投げるのが僕の役割。そのためには最終的に結果が必要になるので、投げる試合は抑えていきたいと思っています」
どこか達観したような口調に、右腕を取り囲んだメディア陣はやや差し込まれていた。
ホークスの先発陣は盤石の感もある。開幕投手に内定している千賀滉大と東浜巨は昨季タイトルを獲った実力者。和田毅、バンデンハーク、武田翔太と次々に名前が挙がる。6番手を昨季8勝の石川柊太や実績ある中田賢一らが競っているのだからハイレベルだ。他球団に比べて力が一枚も二枚も上なのは間違いない。
だが、実際にキャンプを通して取材してみると、和田が途中で左肩違和感を訴えたり、東浜はブルペンで投げるたびに「良くない」を連発して表情は曇りがちだったり、千賀は24日の紅白戦で2回5失点と炎上したりと隙がないわけではなさそうだ。
寺原のようなベテランの存在がチームを助ける時が来るのではと、ひそかに予感している。おそらく寺原本人に話を向けても「いや、それはないですよ」と宮崎訛りの抑揚で煙に巻かれるのだろうけど。