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「4年後は私にはないと思うので」
スマイルジャパンを支えた2人の魂。
posted2018/02/22 07:00
text by
神津伸子Nobuko Kozu
photograph by
Sunao Noto/JMPA
スマイルジャパンの平昌五輪の全日程が終了した。
最終5・6位決定戦でスイスに1-0で敗れて6位入賞。それでも今大会は歴史的勝利を挙げ、一歩を踏み出した。
忘れられない試合となった世界ランキング5位のスウェーデン戦。延長戦サドンデスで、主将・大澤ちほからロングパスを受け取って、劇的な床亜矢可のミドルシュートが決まり、2-1で振り切った。
「今回のオリンピックが、自分の集大成です」
ラストのブザーの瞬間、真っ先に思い出したのは、32歳のフォワード足立友里恵の言葉だった。
平昌五輪に向かう前に、何度もこの言葉を口にしていた。
その真意を問うと、「年齢や色々な事を考えて、次の4年後は、私には無いと思うのです。これが最後だと考えています。すべてにおいて、全力で立ち向かってしっかり闘って来たいと思います」と話してくれた。
「記憶でも自分は決めたことがないはず」
足立のプレーで、最も強く印象に残っているものの1つは、実はごく最近のものだ。
それは平昌五輪前、ドイツ・チェコを迎えての壮行試合で起きた。
一時的に退場者が出て1人少ないキルプレーと言われる状況で、ドイツを相手に鮮やかなゴールを決めたのだ。
自らパックを運び、見事にゴーリーを振り切りなかなか見られないプレー。
「記憶している限りでも、今まで自分は決めたことが無かったはず」
その時の紅潮した頬とキラキラ輝く瞳、満面の笑顔が忘れられない。
「私の役割はキルプレーでしっかりゼロに抑えて、次に繋いでいくこと」
日頃から、足立は自分の役割をそう話していた。堅実なプレーには定評がある。
身長155cmという、アイスホッケー選手とは思えない小さな身体で競技を続けて来た。氷上の格闘技にはとても向かない体格ながら、アイスホッケーを始めたのは兄と弟の影響だった。3人でユニフォーム姿で、氷の上で笑う写真が今も残っている。