オリンピックPRESSBACK NUMBER
小平奈緒が李相花へかけた言葉。
「チャレッソ」の意味と2人の友情。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byTsutomu Kishimoto/JMPA
posted2018/02/19 11:30
レース後には、ふたりで一緒にリンクを回って観客に感謝を伝えていた小平と李。
「サンファのレースは友達の気持ちで見ました」
小平が紹介した和やかなエピソードを笑みを浮かべながら聞いていた李も、“お返し”の逸話を披露した。
「2007年頃に彼女が私の家に遊びに来てくれました。すごく仲が良かったので誘ったんです。それに、私が日本に行った時はいつも面倒を見てくれます。和食が好きな私のために、日本食も送ってくれるんですよ。特別な友達です」
レースを終えた直後の小平は、低地リンクで目標としてきた初の36秒台をたたき出しながらも、ガッツポーズは控えめだった。
「私が滑り終わった後にも2組のレースが残っていたので、まだ喜びを爆発させるべきではないと感じていました。
サンファのレースは、自分のレースが終わっていたので、友達の気持ちで見ました。
そして、すべてのレースが終わって結果を見たとき、まわりの皆さんがすごく喜んでくれて……私は成し遂げたんだなと思いました」
派手に感情を爆発させることはなかった。
新たな五輪女王の誕生劇は、そよ風のようだった。
強さと優しさを見せた小平に、スタンドから大きな拍手が降り注いだ。