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葛西紀明「2022年、絶対に出ます」。
世代交代と何度も言われたからこそ。
posted2018/02/20 11:40
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Ryosuke Menju/JMPA
8度目の大舞台は、苦いものとなった。
2月19日、ノルディックスキー・ジャンプ男子団体が行われ、ジャンプ競技はすべて終了した。
前回のソチ五輪のジャンプ男子では2つのメダルを獲得した日本だが、今大会はゼロ。小林陵侑のノーマルヒル個人7位と、ラージヒル団体6位の、2つの入賞のみにとどまった。
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中でも苦しんだのが葛西紀明だった。ソチではラージヒル個人で銀メダル、ラージヒル団体でもエースとして銅メダルに貢献したが、今大会はノーマルヒル個人21位、ラージヒル個人では33位で2本目に進めず、ラージヒル団体でも思うようなジャンプができなかった。
今シーズン、自分で納得の行くジャンプができた大会は多くはなかった。だからこそオリンピックでの巻き返しを誓っていた。しかし大会序盤のノーマルヒル個人では、四方八方から風が吹く気まぐれな天候条件と、極度の寒さにも悩まされた。
ラージヒル個人でも同様に、風に翻弄された。悔しさのあまり、「ちくしょう」とつぶやいて取材エリアを通り過ぎていったことにも、心境が表れていた。
「2022年の北京、絶対に出ます」
今度こそ、と誓ったラージヒル団体では日本の3人目を務め、1本目は124m、2本目は125mを記録したが、上位国に置いていかれる結果となった。
「みんな悔しい思いをして、4年後、絶対メダル獲るぞという気持ちになったと思います。悔しい思いをすることも大事だと思うので、すごい、いい勉強になったと思います」
そう大会を振り返った葛西は、こうも続けた。
「(2022年の北京五輪を)目指すというか、絶対に出ます。次は絶対にメダルを獲るという悔しい気持ちが出ています。まだまだできる」
次への意欲をこう前面に表した。その言葉に、かつての数々の困難を思い出す。