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若手野手ブレイクの方程式発見!?
今季と来季注目すべき選手とは。
posted2018/02/12 11:30
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Naoya Sanuki
「前々年:二軍で長打率4割→前年:一軍で40安打超え」
これは、一軍で実績のない若手野手の中から、その年に活躍する選手を予想しようと私が作った方程式だ。現役の一流選手たちの足跡をたどるうちに行き着いた数字で、たとえばこんな選手たちが当てはまる(カッコ内は当時の所属球団)。
イチロー(オリックス)'93年二軍/長打率.640→'94年一軍/210安打(打率.385)
中村剛也(西武)'04年二軍/長打率.603→'05年一軍/62安打(打率.262)
糸井嘉男(日本ハム)'07年二軍/長打率.579→'08年一軍/45安打(打率.239)
中田 翔(日本ハム)'09年二軍/長打率.674→'10年一軍/49安打(打率.233)
柳田悠岐(ソフトバンク)'11年二軍/長打率.518→'12年一軍/48安打(打率.246)
筒香嘉智(DeNA)'11年二軍/長打率.457→'12年一軍/84安打(打率.218)
鈴木誠也(広島)'14年二軍/長打率.415→'15年一軍/58安打(打率.275)
そこで、一流選手は無名時代、二軍でどんな成績を残していたのかを調べてみた。目を引いたのは、長打率の高さだった。
上林、外崎と中谷、山川、大田は少し違うステップ。
イチローのように二軍で高い長打率を残し、すぐ翌年に一軍でブレークする人もいるが、中村、糸井、中田、柳田、筒香、鈴木らは「二軍で長打率4割→一軍で安打数40本」というステップを踏んでいる。2017年にブレイクした選手で言うと、この2人だ。
上林誠知(ソフトバンク)'16年二軍/長打率.421→'17年一軍/108安打(打率.260)
外崎修汰(西武)'16年二軍/長打率.545→'17年一軍/113安打(打率.258)
両者ともいきなり覚醒した、いわばイチロー型だった。
一方で中谷将大(阪神)、山川穂高(西武)らは3年越しのステップで一軍の戦力になったケースだ。山川は40安打こそ超えていないものの、2017年の成績を見れば、3年越しでのステップアップと言っていいだろう。
中谷将大 '15年二軍/長打率.424→'16年一軍/41安打→'17年一軍/99安打
山川穂高 '15年二軍/長打率.478→'16年一軍/36安打→'17年一軍/72安打