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広島の二軍キャンプは地味でも熱い。
中村、桑原、木村、赤松が土の上で。 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byKyodo News

posted2018/02/11 11:30

広島の二軍キャンプは地味でも熱い。中村、桑原、木村、赤松が土の上で。<Number Web> photograph by Kyodo News

広島二軍キャンプの一番人気はやはり中村奨成。とはいえ、彼だけが一軍を目指しているわけでもないのだ。

123番の木村聡司は、高校時代と真逆の姿に。

 遊撃手・桑原樹の隣で、セカンドを守っている背番号123。同じ4年目の木村聡司。こちらは、常葉学園橘高からプロに進んだ。

 本人、ガチガチの投手志望だった。柔らかいのに強さを感じる、日本人には珍しいタイプ。本気で投げると高く抜けるボールが多かったが、それでも145キロ前後をいつもマークしていた高校時代の快速球を、ブルペンで受けたこともあった。

 プロでは、最初から内野手で勝負することになっていた。高校時代も投げない日はショートを守って、三遊間のライナーをダイビング・キャッチで仕留めたり、前の高いバウンドをジャンピングスローで一塁に刺したり、人にできないアクロバチックなディフェンスが目をひいていた。

 そんな木村聡司が終始低い体勢で、“まじめ”に打球と向き合っている。基本とはいちばん遠い位置にあったプレースタイルが、すっかり地に足のついたフィールディングになっている。

3年間の育成生活が、彼を慎重にさせている。

 野球が上手くなったねぇ、と声をかけたら、

「ほんとですか……?」

 まじめに疑っている。

 すっかり内野手らしくなった、びっくりした、と重ねていったら、

「ほんとに……うれしいです……」

 やっと笑顔になった。

 3年間の育成選手生活の苦労が、ほめ言葉に対する反応を慎重にさせている。

「でも長い距離のスローイングだと、腕を遠くに引きすぎてしまって、体が開くんで」

 ピッチャーだった時のクセが出るんじゃないの。パッと笑顔が冴えた。

「ああそうか……そうですね、もっとトップが小さくてもいいのかな」

【次ページ】 胃がんから復活した赤松真人の姿も。

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