プレミアリーグの時間BACK NUMBER
プレミア冬の移籍総額は630億円。
勝ち組はアーセナル、負け組は……。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2018/02/03 08:00
オーバメヤン(左)とムヒタリアンを手に入れたアーセナル。彼らの活躍で挽回なるか。
チェルシーは補強よりコンテ監督との関係が……。
1月に1勝しかできず4位に落ちたチェルシーには、3名の主力候補が加わった。ジルーのほかに、ローマから移籍のエメルソンと、エバートンから引き抜いたロス・バークリー。課題とされたストライカー、センターハーフ、左ウィングバックに新戦力を獲得している。
この動きはメディアで評価されているが、ムードはビッグ6で最低レベルと言わざるを得ない。解任説もあるアントニオ・コンテ監督は、オーナー側近の契約交渉担当と関係が悪化する一方だからだ。
今冬の補強への満足度も怪しい。移籍金1800万ポンド(約27億円)に「バーゲン」との声もあるジルーは、自信喪失中のアルバロ・モラタより前線の起点になれるが、アーセナルでは難易度の高いゴールを決める一方で簡単なチャンスを逃して定位置を奪えなかった。チェルシーでも同じパターンを繰り返さない保証はない。
最大の成果を示したと言われているのはアーセナル。
バーゲンという表現は、トッテナムが2500万ポンド(約38億円)でPSGから獲得したルーカスの方が相応しいかもしれない。今冬唯一の新戦力ではあるが、主砲ハリー・ケインらの流出を避けたマウリシオ・ポチェッティーノ監督は、DFカイル・ウォーカーをシティに奪われた右サイドに迫力を加えられる存在を手に入れた。
最大の成果を示したと言われているのはアーセナルだ。クラブ史上最高値5600万ポンド(約83億円)で買い入れたオーバメヤンと、物々交換で手に入れたムヒタリアンは、ドルトムント時代に計62ゴール44アシストを記録している。おまけに、司令塔のメスト・エジルも3年半の契約延長に合意した。
ただし前線は、昨夏加入したのアレクサンドル・ラカゼットを使いあぐねているほど層が厚い。むしろ中盤より後ろの弱さが、市場が閉まる前日のスウォンジー戦でも露呈された(1-3)。おそらくアーセン・ベンゲル体制の最終年になるだろう来季、CLを戦うためにはリーグ4位以内ではなく、EL優勝で手に入れる方が現実的だろう。