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プレミア冬の移籍総額は630億円。
勝ち組はアーセナル、負け組は……。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2018/02/03 08:00

プレミア冬の移籍総額は630億円。勝ち組はアーセナル、負け組は……。<Number Web> photograph by Getty Images

オーバメヤン(左)とムヒタリアンを手に入れたアーセナル。彼らの活躍で挽回なるか。

首位独走のシティは若手センターバックを手堅く補強。

 クラブ側は、意中の獲得ターゲットに高年俸を提示するとともに、他の陣容では我慢も受け入れる。ユナイテッドのサンチェス獲得は、創造性あるMFヘンリク・ムヒタリアンとのトレードだった。アーセナルはチェルシーにオリビエ・ジルーを売り渡し、そのチェルシーもミヒー・バチュアイをドルトムントにレンタルで差し出している。

 こういった強豪同士の選手売買をはじめ、20クラブ合計の移籍金支払額は4億3000万ポンド(約630億円)にのぼった。過去最高だった昨シーズンの2倍近い額で、15年前とはまったく異質の移籍市場である。

 国内メディアは一様に、ビッグ6の補強に合格点以上を与えている。首位マンチェスター・シティは2位ユナイテッドに勝ち点15差をつけており、リーグ優勝は動かし難い。そのシティは、クラブ最高の移籍金5700万ポンド(約86億円)で獲得したアイメリック・ラポルテが実質的な新戦力だ。

 アスレティック・ビルバオから引き抜いた新CBは、先発デビューを果たしたウェストブロミッジ戦で、23歳の若さに似合わぬ冷静なプレーが早くも好評。ジョゼップ・グアルディオラ率いるチームは、リーグ戦25試合で73得点の一方で、やや心もとない守備面でも安定した。

マンUはサンチェス、リバプールはファンダイク。

 トップ4が現実目標となる残りの5強では、ユナイテッドが定評あるストライカーをアーセナルから手に入れた。アレクシス・サンチェスは、ムヒタリアンを信用し切れなかったモウリーニョが好む「ファイター」タイプだ。

 なおかつアーセナルは今季ヨーロッパリーグに出場していたため、CL決勝トーナメントでも使える。「やはり荷が重いか?」との声も上がるロメル・ルカクのプレッシャーも軽減されるだろう。

 先の話をすれば、サンチェスはチリ代表がW杯予選敗退しているため、幸か不幸か休養十分で来季を迎える。モウリーニョがサンチェスを前提に進めるチーム作りも興味深い。

 3位リバプールの主力クラス獲得は、前述の通りファンダイクのみ。ユルゲン・クロップ体制下で泣き所だった守備の要として期待は大きい。コウチーニョ流出は確かに痛手だが、昨夏加入のモハメド・サラーがこの5カ月間で26得点と、その痛みを和らげている。

 守備を改善してCL出場権を維持すれば、コウチーニョと引き換えに得た1億4200万ポンド(約213億円)の移籍金収入を、次の移籍市場で活用できるはずだ。

【次ページ】 チェルシーは補強よりコンテ監督との関係が……。

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