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MLBが気にする「投手酷使指数」とは。
投手の肩という資産の有効運用を。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2018/02/03 11:30

MLBが気にする「投手酷使指数」とは。投手の肩という資産の有効運用を。<Number Web> photograph by Getty Images

バーランダーなどメジャーの投手も球数は投げるが、1回の登板での球数は日本よりも確かに少ない。

球数に関する考え方の違いを示すPAPという数字。

 日米の「球数」に関する考え方の違いを端的に表す指標にPAP(Picher Abuse Point=投手酷使指数)がある。

 PAPは。1試合で投げた球数から100を引いてそれを3乗したもの。これを毎試合加算する。この数値の合計がシーズンで10万を超えれば故障の可能性が高く、20万を超えればいつ故障してもおかしくないとされる。100球以下の試合はカウントしない。

 この指標の日米上位5人を並べてみると、愕然とする。いずれも2017年の実績から。

<MLB>
1ジャスティン・バーランダー(2球団)3531球 PAP 4万8732
2クリス・セール(レッドソックス)3428球 PAP 4万4918
3マックス・シャーザー(ナショナルズ)3111球 PAP 4万2204
4トレバー・バウアー(インディアンス)3148球 PAP 4万2038
5ジェフ・サマージャ(ジャイアンツ)3273球 PAP 3万9842

 ちなみにダルビッシュ有は2球団で3054球を投げ、PAPは28029。MLB全体では10位だった。

<NPB>
1則本昂大(楽)2916球 PAP 32万9158
2菊池雄星(西)2892球 PAP 31万4105
3岸孝之(楽)3004球 PAP 26万7756
4涌井秀章(ロ)2739球 PAP 23万5345
5メッセンジャー(神)2503球 PAP 23万0020

1日で投げる球数が大きく影響する指標。

 数字が一桁違うのだ。

 MLBではPAPが最も大きいバーランダーでも4万台、黄信号の10万のはるか手前なのに対し、NPBの則本は33万。赤信号の20万をはるかにオーバーしている。

 NPBではPAPが20万以上は5人、10万以上も5人いる。

 球数でいえば、バーランダーは3531球、則本昂大は2916球。バーランダーが600球以上多いが、バーランダーは33登板し、27試合で100球以上投げているが、1試合の球数は最多でも119球だ。則本は25登板だったが、144球を筆頭に130球以上投げた試合が4試合、120球以上も4試合ある。

 144球を投げれば、その試合だけでPAPは8.5万にもなる。MLBの感覚でいえば恐ろしい数字なのだ。

【次ページ】 完璧ではないが、「これ以外の有効な指標もない」。

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