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4度目J1復帰、湘南の志はより高く。
「らしいサッカーだけでなく……」
posted2018/01/24 11:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
これまでとは、違う。
昨シーズンのJ2リーグを首位で駆け抜けた湘南ベルマーレが、2018年シーズンからJ1リーグへ戦いの舞台を戻す。J2からJ1への復帰は通算4度目で、過去2度は1シーズンで国内トップカテゴリーへ返り咲いている。
J2への転落が負の歴史の起点となり、J1へ戻れないクラブもあるなかで、湘南の反発力は鮮やかだ。2012年から采配を振るうチョウ・キジェ監督のもとで作り上げてきた“湘南スタイル”が、選手が入れ替わっても息づいているからである。
“ノンストップ・フットボール”とも評されるサッカーの体現者たちは、攻守に惜しみなくハードワークする。複数のポジションに対応し、どんな監督のもとでも、どんなサッカーにも適合する選手ばかりだ。
それこそは、J2降格が繰り返されても湘南が評価されてきた理由である。中心選手がタイトルを狙えるクラブへステップアップしていった一方で、たとえJ2でもいいから湘南のユニフォームを着たいという選手が集まり、チームは1シーズンでのJ1への復帰を果たしてきた。
「J1で勝ち切れるチームへ変わる」(坂本紘司SD)
世界基準にも合致するスタイルが対外的な評価を受けることは、もちろん悪いことではないだろう。ただ、スタイルは勝つための手段であり、その表現が目的となってはいけない。J1においてはスタイルが必ずしも勝点へとつながらず、ひいてはJ1に定着しきれなかった現実から、眼を背けるわけにはいかないのだ。
クラブのOBでもある坂本紘司スポーツダイレクター(SD)が説明する。
「スタイルを貫くだけでなく、J1で勝ち切れるチームへ変わっていく。今シーズンからそう考えたわけではなく、チョウ・キジェ監督ともずっと話をしてきたことで、勝利に貪欲になる、勝ち切る、ということをこれまで以上に意識していくということです。湘南らしいサッカーをするだけでなく、そのうえでどうやって勝点を獲っていくのか、という段階にチームが入ってきたと考えています」