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選手権連覇の先に見る「世界基準」。
ラグビー日本一、サントリーの野望。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKyodo News
posted2018/01/15 12:05
沢木敬介監督、流大キャプテン体制で、2年連続の2冠を達成したサントリー。彼らが目指す「世界標準」の実現を見てみたい。
パナソニックに屈した10月の挫折。
ふたつ目は10月21日の第9節だ。パナソニックとの全勝対決で、10-21の敗戦を喫したのである。アタックの回数では上回ったものの、相手の堅守を崩し切れない。後半はスコアすることなくライバルに屈した。
キャプテンの流大は、自分たちの力不足を認めた。
「監督も話していましたが、サントリーがまだまだ弱くて、パナソニックさんが強かったということです。チャンスを仕留めるスキルや判断が、甘かったんだと思います」
もっとも、表情に暗さはない。前向きな意思が瞳に宿っている。
「負けたことは悔しいですけれど、自分たちはチャレンジャーだということを再認識した試合でした。今シーズンは“ステイ・ハングリー”をスローガンに掲げてきたので、自分たちが何をしないといけないのか、原点に立ち返る機会になったと思います」
アタッキングラグビーと、揺るぎないハードワーク。
勝利をつかみながら内容に不満を残したヤマハとは、1月6日の今大会準決勝で対峙した。前半だけで28-0の大差をつけ、49-7でノーサイドを迎える。ヤマハが外国籍選手を複数人欠いていたとはいえ、序盤から攻守にスキのない試合運びをしたサントリーの快勝である。
リーグ戦のリベンジに挑んだパナソニックとのファイナルでも、サントリーはタフな戦いを繰り広げる。インテンシティの高い攻防のなかで、パスを継続して攻めていくアタッキングラグビーを貫いた。12-8でリードした75分以降には、40フェーズにあと少しで届くほどの攻撃を繰り出した。
オフェンスだけではない。ディフェンスも粘り強いのだ。ゲームの最終盤にはゴールラインのギリギリまで押し込まれたものの、シーズンを通して追求してきたハードワークを揺るぎないメンタルが支える。4点のリードを保ったまま、歓喜の瞬間を迎えたのだった。