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「キタサンロス」はどう埋まるか。
ディープ、オグリの時を振り返ると。

posted2018/01/11 07:00

 
「キタサンロス」はどう埋まるか。ディープ、オグリの時を振り返ると。<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

観客を呼ぶ馬、という意味でキタサンは正確にディープの後継者だった。さあ、次はいつどんな馬が登場するのだろうか。

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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Keiji Ishikawa

 昨年の有馬記念で歴代最多タイのJRA・GI7勝目を挙げ引退したキタサンブラック(牡6歳、父ブラックタイド、栗東・清水久詞厩舎)が、2017年度の年度代表馬に選出された。16年度につづき、2年連続の受賞となった。

 昨年はGIばかりを6戦し、大阪杯1着、天皇賞・春1着、宝塚記念9着、天皇賞・秋1着、ジャパンカップ3着、有馬記念1着。「現役最強馬」の看板を背負い、私たちの前で堂々たる走りを見せつづけてきた。

 1月7日、京都競馬場でキタサンブラックの引退式が行われた。

 武豊を背に芝コースに現れると、約1万8000人が集まったスタンドから「ブラック、ありがとう!」と大きな声援が上がった。

北島オーナーが、清水調教師が、武騎手が。

 GI7勝を表す「7」のゼッケンをつけたキタサンブラックが、直線をキャンターで流した。黒光りする雄大な馬体と、やわらかい身のこなし、そして大きなストライド。ここに備えて坂路調教をこなしてきただけあり、有馬記念を勝ったときと変わらぬ走りだった。5歳だった昨年GIを4勝したのだから、まだまだやれるはずだが、北島三郎オーナーは引退させることを決意した。

「今日も元気で、これからレースをするみたいですね。しかし、私は日頃から『引き際の美学』を大切にしています。立派な大輪を咲かせたのだから、散らせないで、輝いたまま終わらせてやりたい。何カ月も前から寂しさを感じていましたが、新しい道に行かせてやります」

 管理した清水調教師の表情も寂しげだった。

「感謝しかありません。いい形で終われたんじゃないでしょうか。2年ぶりに跨りましたが、さすがに成長していました。一生忘れられない馬です。3年間一生懸命走り抜いてくれて、ありがとうと言いたい。産駒で強い馬をつくっていきたいです」

 最後にその背中を味わった武も感慨深げだった。

「有馬記念から2週間経って、あらためて、素晴らしい乗り味の馬だなと思いました。乗っていて気持ちいい。なかなかこういう馬にはめぐり逢えない。あの大きさ(有馬記念を540キロの史上最高馬体重で優勝)で、すごく軽いし、スピードも抜群だった」

【次ページ】 武が繰り返した「めぐり逢えてよかった」。

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