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「キタサンロス」はどう埋まるか。
ディープ、オグリの時を振り返ると。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKeiji Ishikawa
posted2018/01/11 07:00
観客を呼ぶ馬、という意味でキタサンは正確にディープの後継者だった。さあ、次はいつどんな馬が登場するのだろうか。
オグリキャップの引退も、大きなロスだった。
その前にもいろいろ「ロス」はあったが、キタサンロスとディープロスに匹敵するか、それ以上に大きかったのは、不振に陥り「燃え尽きた怪物」と言われながら、引退レースとなった1990年の有馬記念で劇的な勝利をおさめたオグリキャップの「オグリロス」だ。オグリの時代もディープの時代も「~ロス」という言葉はなかったが、心にあいた穴の埋め方は同じだった。
翌'91年、すぐにロスを吹き飛ばす馬が現れた。同年の天皇賞・春を、武を背にしたメジロマックイーンが勝ち、史上初の天皇賞父仔3代制覇の偉業をなし遂げたのだ。これも競馬の神様の采配だったのか、オグリがいなくなった次の世代の王者はオグリと同じ芦毛という、見た目でも私たちの気持ちに添う存在だった。
有馬記念ファン投票の上位陣を見てみると……。
名馬の「ロス」を忘れさせてくれるのは、次の世代の名馬しかいない。
では、どの馬が、今の私たちの「キタサンロス」を埋めてくれるのか。
去年の有馬記念のファン投票の最終結果で1万票以上を得た上位25頭のうち、現役をつづける馬を見てみると、こうなる。
サトノダイヤモンド、サトノクラウン、レイデオロ、シュヴァルグラン、マカヒキ、キセキ、ソウルスターリング、ゴールドアクター、モズカッチャン、ヤマカツエース、レインボーライン、リアルスティール、シャケトラ、スワーヴリチャード、アルアイン、サウンズオブアース、ヴィブロス、エアスピネル、ディアドラ、ステファノス、ペルシアンナイト。
クラシック世代では、昨年の2歳王者ダノンプレミアム、ホープフルステークスの覇者タイムフライヤー、京都2歳ステークスを勝ったグレイル、2歳女王ラッキーライラックなども候補だろうか。
この大きな「キタサンロス」を、「そういうこともあったね」と思わせてくれる新星の活躍に期待したい。