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内田篤人の帰還と、小笠原満男。
昨年冬に語った「鹿島の血の継承」。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byGetty Images
posted2018/01/09 17:00
内田篤人、そのスマートな佇まいとは裏腹に、鹿島仕込みの勝利への執念は誰よりも深い。小笠原の魂を継ぐ存在となるのか。
鹿島の血を継承する事は「したいですね」。
鹿島が優勝を逃した瞬間、ピッチに小笠原がいなかったという事実。当然、チームの支柱はまだまだ今季も健在だが、このタイミングで内田が鹿島に帰還したことに、どんな意味が含まれているのだろうか。
内田自身の選手キャリアを考えても、今回の移籍は重要な意味を持つ。ロシアW杯を戦う日本代表に復帰できるか否か、自分のコンディションが果たしてどこまで実戦に耐えられる状態なのか。すべては戦いの蓋を開けてみなければ、わからない。
同時に、鹿島の今を見つめた決断だったとも言えるのかもしれない。ポーカーフェイスでいながら、義理堅い男。それは記者として突然現れた私への対応でも、十分感じ取ることができる人間性だった。
そんな内田に最後に聞いた。
「小笠原や先輩たちが築いてきたもの、『鹿島の血』を、継承したい思いはあるの?」
答えはシンプルだった。
「したい。したいですね。でも、僕は満男さんには絶対になれないから」
その答えが、今季、鹿島で見られるかもしれない。