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坪井慶介は燃え尽き方を知らない。
湘南から山口、38歳は今日も走る。
posted2018/01/07 11:30
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
38歳の目は、意欲にあふれていた。
「まだ辞められない。燃え尽きていないから。自分が燃え尽きたと思えるまでやりたい」
浦和時代の仲間からも大きな刺激を受けた。10年前、ACL初優勝でともに歓喜した阿部勇樹が、再びアジア王者に就いた姿には心を打たれた。
「また、泣いていましたね。本当にすぐに泣くんだから」とうれしそうに笑っていた。試合のことで滅多に直接電話はしないが、あの日はすぐに「おめでとう」を言いたくて、アドレス帳から阿部の名前を探した。
電話は一回でつながらなかった。その後、阿部から折り返しの連絡をもらったが、次は坪井が受けれず。すれ違いはあったものの、少し時間が経ってから電話できたおかげで、「いろいろ話せましたよ」と満足そうだった。
浦和・平川「ツボはまだ速くなりたいのか」
阿部は浦和で次のタイトルを狙うことを公言し、2017年シーズン限りで湘南ベルマーレを契約満了となった坪井慶介は、新天地のレノファ山口でも新たな戦いに挑むことを誓う。
「チョウ(曹貴裁監督)さんの言葉を借りれば、自分でこれ以上成長できないと思えば、もう成長はしない。まだ成長できると思えば、少しずつでも伸びていく。僕はまだ成長できると思っている」
自らの可能性を信じる言葉には、力がこもっていた。
口だけではない。自慢のスピードを維持し、さらに磨くために、いまもたゆまぬ努力を続ける。そのスピードトレーニングの1つは、浦和レッズ時代には周囲から「ロケットダッシュ」とも呼ばれた。
2012年当時、それを見ていた同期の平川忠亮(浦和)は、ケガ予防のために取り組んでいると思っていたが、練習の目的を聞き「ツボ(坪井)は、まだ速くなりたいのか」とあ然としていた。