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内田篤人の帰還と、小笠原満男。
昨年冬に語った「鹿島の血の継承」。 

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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posted2018/01/09 17:00

内田篤人の帰還と、小笠原満男。昨年冬に語った「鹿島の血の継承」。<Number Web> photograph by Getty Images

内田篤人、そのスマートな佇まいとは裏腹に、鹿島仕込みの勝利への執念は誰よりも深い。小笠原の魂を継ぐ存在となるのか。

「強いから勝つ」か「勝っているから強い」か。

 そして内田は、さらに鹿島について口を開いた。

「鹿島って、『強いから勝つ』というよりも、変な話、『勝っているから強い』と評価される方がしっくり来る。何より現実的に勝ってきたから、常勝軍団とか勝ち癖があるとか言われるようになった。

 でも、これって正直ものすごく紙一重な話でもあるんです。2007年から2009年まで3連覇した時も、常にライバルには(川崎)フロンターレがいた。フロンターレもあの時はものすごく良いチームだった。だからこうも思う。僕らが3連覇できずに彼らがリーグ制覇していたら、もっと強豪の道を歩んでいたかもしれない。でもフロンターレはずっと2位だった。逆に鹿島があそこで負けていたら、もっとクラブとして燻っていたかもしれないけど、勝ったから今の地位がある」

 内田の言葉を聞いた数カ月後。2017年のJ1リーグは劇的な結末を迎えた。

 最終節、首位を走る鹿島は勝てば自力で優勝を決められる立場にいた。2位につけていたのは、川崎。川崎は最終節で勝つしかなく、あとは鹿島の結果を待つのみだった。

 結果は、川崎は勝利。鹿島は、最後まで磐田の守備を崩すことができずスコアレスドロー。これまで『シルバーコレクター』と揶揄されてきた無冠の川崎が、遂に鹿島を抑え頂点に立ったのだった。

 磐田との試合、鹿島のベンチには小笠原満男がいた。言わずと知れた、チームの精神的支柱。リーグ終盤戦は若手の選手に出番を譲ることが多くなっていたが、この大事な一戦で試合途中からでもピッチに立っていれば、チームの状況は変わったのではないか。結果論ではあるが、そんな意見も飛んでいた。

小笠原満男が言う「やること変わらないよ」。

 その光景を見て、再び数カ月前の内田の発言が思い出された。彼は、こう断言していた。

「鹿島はいつだって選手のクオリティも素晴らしいし、今では根本的な自信もある。でも、チームとして成立するのは、小笠原満男がいるからなんです。現役を引退する時は、必ずチームは過渡期を迎える。それは間違いないです。

 その時に、僕が鹿島にいられるのかいられないのかは、わからない。サコ(大迫勇也)が戻っていたりするのかもしれないし。

 よく、僕が代表やいろんなところでキャプテンをやらないのか? と言われてきました。確かにそういう年齢や経験を積んできたことはわかる。

 でも、僕にはその理想像がある。自分の考え方をみんなに注入する。そういうキャプテンシーがイコール、勝つことにつながるわけではないですから。それで勝てるなら言いますけど、僕はあまり関係ないと思っている。

 チームなんて生き物なんです。だから、選手が自然に同じ価値観を共有できる時はチームは強くなる。その状態にない時はバラバラになる。でも、そこで踏ん張る時に一番必要なのは、勝ち点3。どんな形でもいいので、勝つこと。勝てば、なんだかんだ言って集団はまとまっていくんですよ。チームがまとまるから勝つのではない。逆なんですよ。

 満男さんはそれをよく知っている。鹿島なんて、みんなほとんど何も言わない。決められた時間にグラウンドに来て、練習して帰る。試合に勝って帰る。それだけ。悪い流れの時期もあるけど、そこで満男さんとかが『やること変わらないよ。続けよう』と言うだけ。これなんです」

【次ページ】 鹿島の血を継承する事は「したいですね」。

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