酒の肴に野球の記録BACK NUMBER

打率4割に.000、2287打席目の初HR。
2017年プロ野球、マニアな5大記録。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2017/12/31 17:00

打率4割に.000、2287打席目の初HR。2017年プロ野球、マニアな5大記録。<Number Web> photograph by Kyodo News

9年目にして初の本塁打を放った日本ハム中島。チームメートも本人も、少々びっくりした表情だった。

プロ生活9年、2287打席目にして初ホームラン。

<中島卓也、ついに初アーチ>

 7月30日、ヤフオクドームのソフトバンク戦で、日本ハムの中島卓也はプロ入り初本塁打。実に2287打席目での一発。これは、もっとも遅咲きの初本塁打である。今年は広島のバティスタ、DeNAの細川成也が初打席初本塁打を記録している中で、中島はプロ9年目の初本塁打だった。

 これまで1000打席以上立って、通算0本塁打だった打者は4人だけ。中島は、この本塁打によって「0本塁打倶楽部」を脱退したことになる。残り3人は以下の顔ぶれ。

1.岡田幸文(ロッテ)2483打席2233打数0本塁打
2.横沢七郎(セネタース)1770打席1465打数0本塁打
3.松本哲也(巨人)1449打席1280打数0本塁打

 申し訳ない。私は岡田幸文は好きな選手なのだが、また“とほほ記録”で名前を出してしまった。中島が卒業する前から、岡田はNPB史上最も多くの打席に立った0本塁打のプロ野球選手だったのだ。前述のとおり、今季0安打だったから、この記録、解消できるはずもない。なお2位の横沢七郎は1913年生まれ、慶應義塾大出で戦前、セネタースで活躍した内野手。のち審判になった。3位の松本哲也は、今季まで現役だったが引退した。

 岡田と松本に共通しているのは「育成上がり」だということ。本塁打はなくても岡田と松本ともに外野守備と足を武器で一軍の舞台で活躍した。0本塁打は、大きいのがなくても起用され続けた選手の、いわば勲章だと言えるのではないか。

<山川穂高、後半戦なんと三冠王>

 最後に景気の良い記録を紹介しよう。今季を前後期に分けるとすると、6月末が切れ目になる。そこで分けて後半戦だけの成績を集計すると、パ・リーグにすごい打者が出現したことがわかる。

●パ・リーグ後半戦(7月1日以降)打率上位5傑

1山川穂高(西)打率.321 66試合 215打数 69安打 21本塁打 56打点
2秋山翔吾(西)打率.319 75試合 307打数 98安打 10本塁打 50打点
3吉田正尚(オ)打率.311 64試合 228打数 71安打 12本塁打 38打点
4柳田悠岐(ソ)打率.303 58試合 198打数 60安打 11本塁打 33打点
5マレーロ(オ)打率.296 68試合 243打数 72安打 15本塁打 41打点

 西武の山川穂高はNPB最多安打記録を持つ秋山翔吾を差し置いて、首位打者。それだけでなく21本塁打56打点で三冠王だ。

【次ページ】 もしフルシーズン稼働すれば、デスパイネ以上?

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