酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
打率4割に.000、2287打席目の初HR。
2017年プロ野球、マニアな5大記録。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2017/12/31 17:00
9年目にして初の本塁打を放った日本ハム中島。チームメートも本人も、少々びっくりした表情だった。
33打数ノーヒットのままシーズンを終えたのは……。
<ロッテ岡田幸文、打てども打てども安打出ず>
岡田幸文は外野守備の名手として知られる。2009年育成6位で入団して2011年には外野の定位置を獲得。抜群に広い守備範囲で、ロッテの投手陣を何度も救ってきた。ゴールデングラブ賞2回、打撃でも.267(規定打席到達)を記録したこともあるが、今季は絶不調。ついに1本の安打も打つことができなかった。40打席、33打数0安打、5四球を選んだものの打率は.000のままシーズンを終えた。
過去にシーズン打率.000を記録した選手は1000人以上いるが、40打席以上は5人しかいない。
1961年 大崎隆雄(大洋)47打席39打数0安打
1955年 円子宏(南海)47打席37打数0安打
2001年 高橋尚成(巨人)44打席39打数0安打
1994年 西村龍次(ヤクルト)41打席36打数0安打
2017年 岡田幸文(ロッテ)40打席33打数0安打
岡田は歴代5位だが、上位4人はすべて投手。野手としては史上最多打席だ。これまでの記録は2016年、岡田のチームメイト吉田裕太が記録した35打席30打数0安打だった。不名誉な記録だが、岡田はこれで球史に名前を残した。来季はぜひ頑張って汚名を雪いでほしい。
<ヤクルト山田哲人、ついに菊池涼介を抜く>
今年のWBCで、広島の菊池涼介はすさまじい守備を見せた。体をゴムのように伸ばしてゴロを捕球し、何度も投手のピンチを救った。世界も菊池の二塁守備に注目した。実はヤクルトの山田哲人も攻守の二塁手なのだが、異次元の守備をする菊池涼介には及ばなかった。
今季、山田は打撃こそ不調に陥ったが、守備面で頑張りを見せてついに今年、数字面では菊池を抜いた。
●過去3年の両二塁手の補殺(ゴロによるアウト)数と1試合当たりの補殺数
2015年:菊池涼介 484補殺/3.38、山田哲人 472補殺/3.30
2016年:菊池涼介 525補殺/3.72、山田哲人 417補殺/3.13
2017年:山田哲人 442補殺/3.09、菊池涼介 407補殺/2.95
菊池は今季5試合欠場、補殺数も大幅に減った。WBC出場の影響かと言われた。山田もWBCに出場、シーズンの打撃成績は不振だったが、二塁手として全試合に出場し、補殺数も442と気を吐いた。
数字だけを見れば、今年のゴールデングラブは山田でもおかしくなかったが、菊池はもはや「ブランド」になっている。記者投票は山田にはいかなかった。しかし今季の山田は、チーム史上最多敗戦の苦しい状況で、いろんな意味で頑張っていたのだ。