“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER

選手権初戦敗退でも逸材1年生が!
興梠+岡崎型の草津東・渡邉颯太。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

PROFILE

photograph byTakahito Ando

posted2018/01/05 11:55

選手権初戦敗退でも逸材1年生が!興梠+岡崎型の草津東・渡邉颯太。<Number Web> photograph by Takahito Ando

滋賀県の選手権決勝では、まだ1年生ながらチームの主軸としてファイト溢れるプレーを見せつけていた渡邉。全国大会初戦で去るには惜しい逸材だ。

前年度王者・青森山田相手にも臆さずに戦った。

 プレースタイルは興梠、憧れは岡崎。予選決勝後のプリンス関西でも残り3試合で3戦連発ゴール。波に乗って今大会にやってきた。しかも初戦の相手は冒頭で触れたように、前年度チャンピオンの青森山田だった。

「どうせやるなら強いところとやりたいと思っていたので、思い切り挑みたいと」

 青森山田に対し、1トップの渡邉は果敢に仕掛けた。しかし、現実は厳しく、フクダ電子アリーナの電光掲示板に刻まれたスコアは0-5。

 だが、渡邉はその才能をピッチ上で披露した。

 この試合、筆者が「これぞ渡邉」と思ったシーンは63分のこと。右サイドにボールが展開されると、渡邉はペナルティーエリア中央にゆっくりと侵入した。そして、ボールを持って中に入って来た味方の動きを見つつパスが出てくる瞬間、一歩だけニアに飛び込むと見せかけてCBを釣り出すと、ワンステップで外へと踏み込んだ。

「パスが来ると思ったので、ちょっと外にズレたことでフリーになった。一瞬の動きでマークを外せた」

 滑らかかつアジリティーの高いオフ・ザ・ボールの動きだった。そして、足下に来たグラウンダーのパスを柔らかなトラップで収めつつ、そのままシュート。GKのセーブに阻まれてしまったが、シュートまでの流れに一切の無駄がなく、なおかつ美しかった。

「自分が想像していた以上にやれた印象があった」

「点を常に狙っていましたし、点を獲りたかったです」

 試合後、1年生ストライカーの表情はどこか晴れやかだった。

「1対1やヘッドでも負けなかったのは、凄く自信になりましたし、自分が想像していた以上にやれた印象がありました。0-5なので、何を言っても説得力はないかもしれませんが、僕なりに感じた手応えはありました」

 自分の現在地は思った以上のものだった。そして、同じピッチで戦った2人のJリーグ内定者の動きもまた、大きな教材となる。

「郷家選手と中村選手はさすがだなと思いました。オフ・ザ・ボールでボールを引き出す動きが上手くて、試合中でも勉強になった。同じポジションの中村選手は裏への抜け出し、ディフェンスを外す動き、ボールを受ける流れが本当にスムーズ。フリーになってボールを受ける動きは、自分の中でもっと磨かないといけない部分でもあるので、すごくプラスになりました。すぐに映像で見直して、参考にしたいです」

【次ページ】 無名、有名は関係なく点を獲って戦う姿勢を。

BACK 1 2 3 4 NEXT
草津東高校
渡邉颯太
青森山田高校
中村駿太
郷家友太

高校サッカーの前後の記事

ページトップ