“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
高3でJリーガーになるという決断。
中村敬斗「20歳で海外は若くない」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/12/22 11:30
メッシもルーニーも、10代後半にはすでにトップチームの一員だった。中村にもその境地を目指す野心は確実にある。
U-17W杯で活躍も、イングランド相手に差を感じた。
三菱養和は2014年までプレミアリーグEASTに所属していたが、現在はその1カテゴリ下のプリンス関東に在籍し、今年で3年目を迎えていた。
だからこそ、気持ちよくプロに行くために“置き土産”を残したい。
決意を胸に秘めた中村は、10月のU-17W杯でも鮮烈な世界デビューを果たした。グループリーグ初戦のホンジュラス戦でハットトリックを達成すると、第3戦のニューカレドニア戦でもゴールを決めた。
ただ決勝トーナメント初戦、同大会で優勝を遂げるイングランド戦で大きな差を味わった。
エースのジェイドン・サンチョ(ドルトムント)は不在だったが、技巧派のフィル・フォデン(マンチェスター・シティ)、司令塔のカラム・ハドソン=オドイ(チェルシー)、その他にもリアン・ブリュースター(リヴァプール)やアンヘル・ゴメス(マンチェスター・ユナイテッド)など、将来のイングランドを支えるメンバーが並んだ。
日本は猛攻に耐えて0-0で90分間を終えたが、PK戦で敗れた。中村も54分に交代を命じられた。
「イングランドはレベルが全然違った。プレー強度が全然違って、日本が引かざるを得なかった。でもイングランドは僕らが引いても、個で剥がしてくる力がある。ピッチで目の当たりにして、本当に世界は凄いと思いました」
W杯という舞台よりも所属チームを優先する衝撃。
試合以上に衝撃だったのは、サンチョがドルトムントの意向で不在だったことだ。
「U-17とはいえ、W杯という舞台よりも所属チームを優先するという……。正直、僕らからしたら分からない感覚が、凄く違うなと思いました。彼は以前、マンチェスター・シティのユースにいて、中3の頃(サンチョと)対戦した。もちろん当時から飛び抜けてうまかったですが、僕らはそれなりに戦えた。
でも、サンチョはさらに上のレベルに行ってしまって対戦できなかった。その事実を目の当たりにして、“やっぱり海外では、どんどん上のレベルに引き上げていくというのが当たり前なんだ”と思ったんです。日本はどちらかと言うと“じっくりユースでやってから”という風潮があると思うので、自らの意思で上のレベルの環境に飛び込んでおかないと、自分の状況は変わらないなと」