スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
スペイン、初戦ポルトガルは歓迎?
2大会ぶりW杯制覇へ楽観ムードが。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byGetty Images
posted2017/12/10 08:00
スペインvs.ポルトガルのイベリア半島対決はEURO2012以来のこと。この時はPK戦の末スペインが勝利し、同大会連覇へ歩みを進めた。
スペインはW杯初戦、2大会連続で負けている。
問題は首位争いを左右するポルトガルとの初戦だ。ポルトガルは昨年のEURO優勝によってメンタル面の弱さを克服した印象があるだけでなく、この1年半でアンドレ・シウバ、ベルナルド・シウバ、ジェウソン・マルティンスら若いタレントが続々と台頭している。
ワールドカップ本大会での対戦は2010年大会のベスト16以来2度目で、前回はダビド・ビジャの決勝点により1-0で勝利。最近ではEURO2012の準決勝で対戦し、0-0の末PK戦を制している。この2大会はいずれもスペインが優勝しており良い印象ばかりが残っているが、ワールドカップ初戦は過去2大会連続で負けているという嫌な記憶もある。
スペインにとっての利点は、初戦の舞台となるソチがベースキャンプ地クラスノダールから170kmほどの近さにあることだ。一方で2戦目のカザンは1300km、3戦目のカリーニングラードは1700kmと、試合を重ねるごとに距離が離れていく。
決勝トーナメントを考えればやはり首位通過を。
ベスト16の相手がA組の勝者となることも、スペインでは好意的に受け止められている。ホスト国ロシアと南米の雄ウルグアイ、どちらが首位通過してくるか読むのは難しい。だがその後の歩みまで考えれば、やはりポルトガルを叩いて首位通過するのがベストだ。
首位通過の場合、ベスト8でアルゼンチンかクロアチア、準決勝でドイツ、イングランド、ベルギーのいずれか、そして決勝でブラジルと対戦するシナリオが見えてくる。言い換えれば、ドイツとは準決勝、ブラジルとは決勝まで当たることがない。
一方、2位通過ならベスト8でフランス、準決勝でブラジルと当たる可能性が高い。
ちなみに、個人的にはスペインとアルゼンチンの決勝が見たいと思っている。そのためにはどちらかが2位通過する必要があるのだが、アルゼンチンは大苦戦の末に2位通過となる可能性が十分にあると見ている。