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槙野智章、30歳にして代表主力に。
道化役から進化した秘密の練習。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2017/12/01 07:00
以前から対人能力は抜群だった槙野。守備面に意識を傾け、ACLや代表で結果が出たことで風格も出てきた。
センターバックでやりたいけど居続けることが大事。
本職はセンターバックだと槙野は自認しているのだが、サイズが不足していると見られてサイドバックとしても起用される。だが、どちらであれスタメンには定着しきれない。本人としては煮え切らない思いでいっぱいになる。
「やっぱり中(CB)でやりたいけどまずはこのチームに居続けることが大事かな。(西川)周作、キヨ(清武弘嗣)、モリゲ(森重真人)、遠藤航とかみたいに試合に出続けていても次の試合、急に呼ばれなくなるということもあるし、かといって試合に出ていないのに呼ばれ続けるのも難しい。そういう意味では自分の役割をしっかり理解してやらなきゃいけないよね」
では、自分の役割とは何だと思う? この時点ではこう答えていた。
「周りの選手のモチベーションを下げさせないような雰囲気を作ること。ベンチメンバーを含めて全員で戦うチームワーク、団結力を生み出すって言うのは僕の1つの仕事かな。やっぱりそれってね、よく知ってると思うけど、長い遠征とかで大事なことじゃん? みんなが試合に出たいし、ヒーローになりたいわけだから。
そういう意味では今日の練習とかも、あれだけワイワイできたのもさ……。“あいつら”にしろ、シュンってなりそうなところを、グッて上げていかなきゃいけないから」
「なんだよ槙野、ふざけんなよー」ってさ。
その時、槙野の後ろを香川真司が会話に加わらず、会釈しながら通っていった。ただ「俺の話してる?」とでも言いたげな表情だった。
あいつら、とはオーストラリア戦で出場機会が与えられなかった香川や本田圭佑だったことは明確だ。
「だから俺が(道化役を)やれば『なんだよ槙野、ふざけんなよー』って言って周りがついてくるじゃん。でもそこで俺がシュンてなってたら、ね」