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槙野智章、30歳にして代表主力に。
道化役から進化した秘密の練習。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2017/12/01 07:00
以前から対人能力は抜群だった槙野。守備面に意識を傾け、ACLや代表で結果が出たことで風格も出てきた。
18歳の頃、先発を外された時に森保氏が話したこと。
出場機会がなくとも、何らかの形でチームに貢献したい。だから、いじられ役として振る舞うこともある。時に悪目立ちもするし、不調時にはその明るさゆえに批判対象になることも少なくない。
しかし槙野がその役割を引き受けているのは、自分の強みだと認識しているからだ。
思い出すのは18歳頃の槙野だ。当時のU-18日本代表で、槙野は公式戦で突然スタメンから外されることがあった。それはサブメンバーを試すためという理由があったと記憶している。当時のチームは柏木陽介や安田理大ら、思ったことをストレートに表現してしまう一方で、急激に落ち込んでしまう選手が多かった。
スタメンを外された際、槙野も落ち込んでいるように見えた。だが、当時U-18日本代表のコーチで、今は東京五輪世代の日本代表監督を務める森保一はこう明かしてくれたことがあった。
「槙野だからさ、耐えられるだろうっていう判断だったんだ」
コーチが特定の選手について言及することは多くない。もしかしたら誰かを経由して本人の耳に入ることを期待したのかもしれない。でもその頃から、そんな役回りだったのだ。槙野の明るさとメンタルの強さは、チームにとって必要な要素だった。
高地トレーニングスタジオで得たタフさ。
とはいえセンターバックでスタメンに入り、ロシアのピッチに立つ。それが何よりの目標だ。今夏には、高地トレーニングのスタジオに通い始めた。酸素濃度の低い高地の状態を機械で作り出し、その中でトレーニングを行うというものだ。
負荷のかかる中で心肺機能を高めることで、通常の酸素濃度に戻った時のパフォーマンスを向上させる。実際に、JリーグとACL、代表と連戦の際の疲労度が軽減したのだという。