ミックスゾーンの行間BACK NUMBER
個人勝負の攻撃なら武藤嘉紀だ!
マインツでの孤軍奮闘を代表でも。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byGetty Images
posted2017/11/23 09:00
今季ブンデスではすでに3得点。現時点での武藤のゴール数は大迫、浅野ら他のブンデス日本人勢よりも多い。
「代表、まだまだチャンスはあると思っている」
もうすぐ2歳になる娘、そして妻と楽しく生活もしている。ケガというつらい経験を幾度も乗り越え、人としての耐久性も増しているということなのだろうか。
「サッカー選手として代表にいることは幸せなこと。でも、一度でも外れた選手はみんな思うことかもしれないけど、代表だけが全てではない。チームでプレーし結果を出すことも、自分のステップアップになるし、それが仕事人としての1人の男の役割。そこを評価されて、代表という舞台があるのだと思う。
サコくんも代表に呼ばれていないこともあったけど、こう言っていた。『呼ばれない時はリラックスして、リフレッシュもして。いい状態を保っていれば大丈夫』と。俺はここマインツで、いい状態でいること。どんな状況に置かれても、そういうことが大事。
やることはやっているし、ケガが連続した時は本当に苦しかったけど、身体も心も良い状態に戻っている。戻っているというか、さらにいい状態になっていると実感がある。
今は自分が輝くところがある。それは幸せなこと。ただ、代表、まだまだチャンスはあると思っている」
正直に言えば、早朝出発で寝ぼけ眼をこすりながらベルギーから列車に乗り、武藤に会いに来た。そんなぼんやりとした筆者の空気を、武藤の燦々とした光がかき消してくれた。
溜め込むエネルギー。それを前向きに貯蓄しているところに、彼の明るい先を見ずにはいられなかった。