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個人勝負の攻撃なら武藤嘉紀だ!
マインツでの孤軍奮闘を代表でも。

posted2017/11/23 09:00

 
個人勝負の攻撃なら武藤嘉紀だ!マインツでの孤軍奮闘を代表でも。<Number Web> photograph by Getty Images

今季ブンデスではすでに3得点。現時点での武藤のゴール数は大迫、浅野ら他のブンデス日本人勢よりも多い。

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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 日本がベルギーに敗れた翌日。朝7時過ぎにブルージュを出発する列車に飛び乗り、昼頃にドイツ・マインツに下り立った。

 まだまだ、頭の中には前夜の試合がこびりついている。その熱が冷めない内に、ある選手に会いに来た。

 午前中の練習を終えると、武藤嘉紀が街中にやってきた。笑顔だった。今回、日本代表から選外になったことについて、本音はどう思っているのか。この時はまだ、何か装っている態度なのかもしれないと感じた。

 ドイツ移籍後、武藤は3度の大ケガを経験した。それによって武藤は常連だった日本代表からも長らく外れた。そして復帰を果たして以降もベンチ外を経験し、今回の欧州遠征で再び招集外となった。

 かつてほど攻撃陣において序列の高い存在ではない。それが、世間での武藤評だろう。

 以前よりも日陰の道を歩く日々。ただ、地道に自分と向き合っている。

専属トレーナーを呼び寄せ、徹底的に肉体を管理。

 今年2月から専属トレーナーを日本から呼び寄せた。もちろん度重なるケガを克服するための自己投資。練習前後、さらには夕飯後から就寝前にかけても、毎日時間をかけて体をケアしている。訪れた日も、少し脇腹に痛みがあると武藤が相談すると、すぐにトレーナーが改善に向けたアドバイスと施術を行なっていた。

 身体が資本の仕事。その基盤の安定はもちろん大切だが、一時期の武藤は負傷の連続に心も疲れ切っていた。ただ今は、的確な助言をしてくれる存在が隣にいることが、メンタル面の平静につながっていることは間違いない。

 そんな現状を踏まえて、代表から外れたことをどう受け止めているか。

 デリケートな話だが、単刀直入に聞いた。今回の遠征では本田圭佑、香川真司、岡崎慎司が外れた報道が目立ったが、武藤が外れたことも驚きを持って受け止められていた。特にドイツからやってきた記者たちは、日本代表の取材中「日本人のドイツ組の中で、武藤が一番好調の選手と言っていい。だからこそ(選外の理由が)わからない」と首を傾げていたほどだ。

【次ページ】 「全然苦しくないんだよね。悔しさはあるけど」

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