炎の一筆入魂BACK NUMBER
鈴木誠也、ケガ離脱後の大変身!?
練習場に響く異様な打撃音が……。
posted2017/11/20 07:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Kyodo News
人気のない屋内練習場に突如、マシン音とともに、ガツンという打球音が響いた。
紅葉が色づく宮島を望む大野練習場は肌寒さを増し、静けさが漂っている。日南秋季キャンプ不帯同となった残留組は、山口岩国市にある由宇(ゆう)練習場にいる。音の主は、アップシューズを履いて、1人バットを握って黙々とマシンに向き合う、鈴木誠也だった。
鈴木はシーズン終盤の8月23日DeNA戦で右足首を痛め、「右脛骨内果剥離骨折」で戦線を離脱した。連覇の瞬間も、クライマックスシリーズ敗退のときも、グラウンドにはいなかった。
治療とリハビリは順調に進んでおり、今ではティー打撃やマシン打撃をできるまでに回復した。
「ここまで予定通りです」と苫米地鉄人トレーナーはうなずく。
だが、1歩1歩復活への階段を上がっていく速度に反し、鈴木の内面は猛スピードで変貌を遂げようとしていた。
鈴木「ずっと何か違うと思っていた」
まず、打撃フォームが今季のそれとはまったく異なる。
右肘を上げたテークバックから、左足をその場で上げて踏み込むシンプルな形に変わっている。奇しくも負傷離脱した直前の打席で得ていたという好感覚すら、捨てている。
「ずっと何か違うと思っていた。何だろう、何だろうと考えていくうちに、こうしたらいいんじゃないかと思った」
マシンから放たれる球を「ガツン」と大きく響かせるほどの力強さがありながら、軸がぶれない。構えたときの頭の位置がほとんど動かないことが、ブレの少なさを物語っている。