炎の一筆入魂BACK NUMBER
鈴木誠也、ケガ離脱後の大変身!?
練習場に響く異様な打撃音が……。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKyodo News
posted2017/11/20 07:00
優勝セレモニー時の鈴木。完全復帰には1年以上かかると言われていたが、回復具合が良く、ファンにも早く笑顔が見せられそう。
「本当、野球が好きですね」とトレーナーも苦笑。
怪我による長期離脱が、大きく変わるチャンスを与えた。
手術後、練習メニューは制限され、時間を持て余す日々があった。そこでさまざまな打者の打撃映像をチェックし、理想を求めた。
リハビリの段階が上がって打撃練習を再開できるようになっても、フォームの追求は終わらなかった。
午前中の打撃練習を終え、午後のトレーニング中にヒントが閃けば、急きょバットを握り、再びマシンと対峙することもある。
リハビリに付き添う苫米地トレーナーは「本当、野球が好きですね」と笑いながら「(秋季キャンプを行う)日南の選手よりも振っているかもしれない」と驚くほど。日南のキャンプにも、由宇での全体練習にも参加できない。そんな孤独な環境がより鈴木を練習に駆り立てているようにすら感じる。
それこそ、打撃フォーム以上の鈴木の変貌かもしれない。
今回のケガは“宿命のケガ”なんだ。
「神様が変われるチャンスをくれた」
この言葉を、鈴木は真顔で言う。
シーズン終盤に離脱しながら、115試合出場で打率3割(リーグ7位)、90打点(同4位)、26本塁打(同6位)を記録していて、その上さらに変わらなければいけないと感じているのである。
今回の離脱による成長を“ケガの功名”と表現するのは間違っている。
本人は負うべくして負ったケガであり、離脱である、“宿命のケガ”だと捉えているのだ。