プロ野球亭日乗BACK NUMBER
桑原将志を決して逃げさせなかった。
ラミレス監督の1番固定は愛と期待だ。
posted2017/11/10 11:30
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
話はクライマックスシリーズ(CS)のファーストステージ第1戦が行われた10月14日の甲子園球場に遡る。
試合前の関係者サロンに入ると奥の方で、でっかい体のいかついおっさん(失礼!)が手を振っていた。
DeNAの前監督の中畑清さんである。
「まあここに座って好きなもん食ってけ!」
いつもの調子でお誘いをいただき、遠慮なくテーブルにつかせてもらうと、すぐさまこれもいつも通りの中畑節が炸裂した。
「桑原にかかっている。いや、間違いないっ!」
「今さぁ、テレビの取材で福留(孝介外野手)のインタビューしてきたんだけど、福留が一番警戒するのは誰だって言ってたと思う?」
突然の質問に「ん?……」と考えていると、こう一気に語り出したのだった。
「桑原(将志外野手)だって言うんだよ。オレもそう思う。桑原っていうのはオレが監督していたときからそうなんだ。チームの中には必ずああいう奴がいるっていう、ちょっと特別な存在なんだよね。チームのムードメーカーっていうか、あいつがヒットとかフォアボールでもいいから出塁すると、ベンチのムードが『よっしゃ!』ってガラッと変わるのよ。そういう奴って、必ずいるの! 勝つチームには!! だからさ、そのことを福留も気づいているんだね。このチーム(DeNA)がCSを突破して日本シリーズに行けるかどうかは、桑原にかかっている。いや、間違いないっ!」
きつねうどんを啜りながらの前監督の“桑原推し”。その熱弁の正しさは、その後の結果が証明した。