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ホークス日本一「陰のMVP」中村晃。
長距離砲への変身、本塁打後の涙。 

text by

田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byHideki Sugiyama

posted2017/11/08 11:00

ホークス日本一「陰のMVP」中村晃。長距離砲への変身、本塁打後の涙。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

日本シリーズでは6試合に出場し7四球。選球眼のよさでもベイスターズの投手を苦しめた。

打順や守備位置が変わっても、全く愚痴らない。

 再び打率3割に挑戦した今季だったが、結果が伴わない。5月までは打率2割4分前後を行ったり来たり。その後調子を取り戻して打率.294まで上昇させた時期もあったが、結局は打率.270でシーズンを終えた。出塁率も昨年を下回る.355だった。

「僕の中では去年に続いて、シーズン143試合フル出場してしっかり戦えたことが良かったと思っています」

 シーズン途中には「今年は個人成績については考えないようにしています」とも話していた。自身の打率への概念を捨てて、何がチームのためになるのか。行き着いた答えが、隠し持っていた長打力を存分に発揮することだった。

 また、野球選手はリズムを大切にする傾向が強いため、打順や守備位置が変わることを嫌がる選手が多いが、中村晃からそんな愚痴を聞いたことは一度もない。今季終盤は主に3番を打ち、涙の一発の試合では7番に、そして柳田悠岐復帰後は5番に落ち着いた。守備位置もポストシーズンではレフトとライトの両方を守った。その中でチームに大きな貢献をし続けた。

 中村晃のような選手こそ、常勝チームに欠かせない存在なのである。

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