球道雑記BACK NUMBER
ドラフト直前の全治6カ月から2年。
日本ハム2位西村天裕を支えた人の輪。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byRyotaro Nagata
posted2017/11/02 11:45
高校生の清宮や東大の宮台に脚光が当たったドラフト会議。だが、社会人野球界のスター選手である西村は、即戦力として大活躍する可能性が高い。
「あって良かったとは言えないですけど……」
さらにNTT東日本でピッチングコーチを務める安田武一からピッチングに関するあらゆるアドバイスを授かった。
「大学まではピッチングコーチというか、近くにピッチャーのことを教えてくれる人がいなかったので、今の安田コーチと出会って、色々と教えていただきましたし、フォームの面もそうですし、ピッチャーとしての心構えと言いますか、バッターを見て投球することとか自分が今まで学んだことがない色々な内容を教えてもらいました」
そうした大人たちとの繋がりが、彼の血となり、肉となった。
「たしかに(怪我をした)当時はショックな出来事でしたけど、そこからの2年間がなければ、今の自分はないと改めて思うので。あって良かったとは言えないですけど、自分にはなくてはならない2年間だったんだと思います」
日本ハムからの2位指名に「ホッとした」。
そして迎えた2017年10月26日。西村は北海道日本ハムから2位で指名を受けた。
会見場の席に座ると、彼は何度もネクタイの結び目を直し、少し緊張しているようにも見えたが、2年前のような不安な気持ちにはならなかったという。
「2年前(のドラフト会議)は怪我をしていたので不安しかなかったんですけど、今回は楽というわけではないんですけど、気持ちに余裕を持って見れました。あれ(2位)以上、指名されなかったら、さすがに(精神的に)きつかったかもしれないですけど、(名前を呼ばれた瞬間は)だいぶホッとしましたね」
指名後のマスコミ対応も終始にこやかな表情だった。
チームメイトの福田周平が3位でオリックスへ、渡邉啓太が5位で千葉ロッテへ、大学時代の同級生、塩見泰隆(JX-ENEOS)が東京ヤクルトに4位で指名されたことも自身の喜びをさらに増幅させたことだろう。他人の祝い事も自分の事のように喜べる。
西村天裕とはそういう男だ。
11月2日から始まる社会人野球・日本選手権は、西村にとってNTT東日本のメンバーとして戦う最後の舞台になるだろう。