球道雑記BACK NUMBER
ドラフト直前の全治6カ月から2年。
日本ハム2位西村天裕を支えた人の輪。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byRyotaro Nagata
posted2017/11/02 11:45
高校生の清宮や東大の宮台に脚光が当たったドラフト会議。だが、社会人野球界のスター選手である西村は、即戦力として大活躍する可能性が高い。
「チームのために働いてから、いなくなれ(笑)」
今年7月に行われた都市対抗野球では、2試合に登板するも思うような投球が出来ず、準決勝以降はベンチ入りメンバーから外される苦い経験もした。西村にとって、今年の日本選手権はそうした汚名返上の舞台でもあり、これまで関わってきた全ての人達へ恩返しの舞台にもなる。
「チームのみんながサポートしてくれてここまで来ることが出来たのだから、1回くらいチームのために働いてから、いなくなれって思いますよね(笑)」
飯塚監督も、冗談を交えて辛口のエールを送った。
そんな冗談を言えるのも、ここに来て西村の状態が上がっているからに他ならない。ドラフト会議直前のJFE東日本戦では、試合途中から登板して4回1/3を無安打無失点。彼本来のポテンシャルがいかんなく発揮されている。
当然、日本選手権での活躍にも期待が持てる。
「一生懸命に自分のピッチングをすれば抑えられるって評価をプロの方もしてくれているわけですから、そのピッチングを日本選手権の舞台で1回くらいやってもらえればと思いますね」
重責を果たした安堵感からなのか、2年間の西村の苦労をこのとき思い出したのか、そう話す飯塚監督の目には若干、光るものがこみ上げているようにも見えた。