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ドイツ移籍、バレー柳田将洋に直撃。
「成長できる保証がなくても……」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2017/10/30 08:00
コート内に限らず1日24時間が日本での生活と全く違う。そこにこそ柳田はバレーボール選手としての楽しさを感じているようだ。
開幕2試合目にしてキャプテンを任された。
チームメイトやスタッフとの会話は英語だ。「まだ細かい表現ができない。できるかできないか、だけになっちゃって、何ができて何ができないかというディテールを伝えられないので苦しい」と言うが、ドイツに来て1カ月足らずで、最低限のコミュニケーションはとれているようだった。
初の海外挑戦だが、立ち位置としては既にチームの軸になろうとしている。ルーベン・ウォロズィン監督は「彼は若いがリーダーシップがある。リーダーとして期待している」と語っており、開幕2戦目で柳田はキャプテンを任された。
まだ言葉で100%意志を伝えられないこともあり、前面に出て引っ張るわけではないが、柳田はチームをコントロールしていくために着々と地固めをしている。
「マリオは19歳と若いけど落ち着いていて、僕の話を親身に聞いてくれる。リベロのトーマス(・ルイス)もそうですが、日本人的な性格の選手が何人かいるので、2、3人協力してくれる人を作って、その人といったん会話してから、チーム全体を巻き込めるようにしたい。急に全体を巻き込むというのは僕にはできないので」
食事やトレーニング環境の不足で、体重が減少。
しかし、何もかも思い通りにいくわけではない。むしろ思い通りにいかないことの多さに面食らった。
最も切実なのはコンディショニングの難しさだ。
これまで全日本やサントリーでは、1日3食、栄養面がしっかり考えられた食事が用意されていたが、ビュールではチームが用意するのは昼食だけ。朝晩は外食か自炊だが、ビュールの街の飲食店は閉まるのが早く、日曜日は開いていない。しかも練習時間は日によって違うため、練習終了が午後10時を過ぎ、それから食べに行こうと思っても店が開いていないということがある。自炊しようにも、寮生活でキッチンは共用のため思うように使えず、満足な食事ができない日もあった。
また、チームのウエイトトレーニングはメニュー数が少ない上、負荷も軽い。全日本での緻密なトレーニングに比べるとどうしても雑に感じてしまうという。
そうした状況の中、柳田はドイツに渡って1カ月で体重が約1.5kg減った。