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あなたは吉村祐哉を知ってますか?
15歳で渡欧し「第2のSHIBASAKI」に。
posted2017/10/29 09:00
text by
栗田シメイShimei Kurita
photograph by
CDT Oficial
吉村祐哉という選手をご存知だろうか。昨シーズン柴崎岳が所属したことでも知られるスペイン2部・テネリフェのBチームが、今季3年契約を結んだ異色のMFだ。
中学卒業後すぐにスペインに留学し、日本のクラブを経ることなくリーガでの契約を手にした。現在は、テネリフェBのトップ下でレギュラーを掴み、トップチームへの昇格も視野に入ってきた。テネリフェのU-23以下を担当する、育成SD(スポーツディレクター)のファン・ホセ・リベロは、クラブのレジェンドの名前を引き合いに出し吉村の将来性を評価する。
「フェリペ・ミニャンブレス(元テネリフェ、現セルタSD)やウーゴ・モラレスのようなタイプ。トップリーグで戦うために必要なものを持っていて、更に良くなるポテンシャルを大きく秘めています。まだキャリアの途中ですが、私たちはユウヤに満足しています」
リベロは、吉村の特長をこう分析した。
「短い距離でのスピード、フィジカル面も素晴らしい。さらにスペイン人に交じってもトップ下、ボランチをこなせる足元の技術。そして何よりも、隙あらばゴールに直結するラストパスを狙う姿勢、精度は目を見張るものがある」
レアルユースとの試合で、スペインに名が知れ渡った。
吉村の名がスペインのスカウトたちに知れ渡ったのは、昨シーズンのレアル・マドリーユースA戦でのことだった。当時ラージョ・バジェカーノユースAに所属していた吉村は、中盤でレアルのプレスを掻い潜りながら得意の左足で数多の好機を演出。強豪相手の1-1のドローに貢献する。レアル戦での走行距離は13kmを超え、“走れるテクニシャン”としてその評価を一気に高めた。
「日本の街クラブでさえレギュラーでなかった自分が、レアル相手でも充分やれるという自信がついた。中学を卒業してから、スペインに渡って3年。この地で積み上げてきたものが無駄じゃなかったな、と。この試合を機にリーガでプレーするという目標が具体化しました」
18歳の技巧派MFは、スペインの地で確かな手応えを感じていた。Jクラブ、名門高校からは見向きもされなかった“雑草”が、世界有数のエリート軍団に対して、自らの価値を証明した瞬間でもあった。