リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
監督就任100日間は「10点満点」
バルベルデとバルサの幸せな関係。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byAFLO
posted2017/10/28 09:00
ルイス・エンリケの後を継いだバルベルデ監督はバルセロナを成功に導きつつある。
相手の分析と、試合中の布陣変更も大得意。
次に、全体がコンパクトになった。これは中盤だけでなくディフェンスの強化にも寄与している。ボールを失った直後に仕掛けるプレスの利きが格段によくなったからだ。加えて自陣への戻りや4-4-2への陣形変更もすみやかになり、ゴール前ではウムティティの快刀乱麻を断つパフォーマンスが際立っているので、守備はかなり安定している。堅い守りはタイトルを狙う上で重要なポイントとなるだろう。
ところでバルベルデは敵の分析と対応にも長けており、この点に関して選手たちの信頼をすでに勝ち取っているという。
たとえばリーガ第6節のジローナ戦で、彼はチームの大黒柱にあたるピケとブスケッツを先発から外し、右SBは本職のセメドではなくセルジ・ロベルトに、ウイングは同じく本職のデウロフェウではなくビダルに任せた。CLを控えた一戦だったとはいえリスクを感じさせる決断だが、バルサは0-3で勝利した。
ポジション変更を伴う選手交替も特徴的で、近いところでは第7節ラスパルマス戦の後半、ウイング役のビダルに替えてイニエスタを入れ、元々中盤にいたデニス・スアレスをウイングの位置に動かし、3得点につなげている。
さらに第8節のアトレティコ戦では、0-1で負けていた60分にセメドとセルジ・ロベルトを、イニエスタとデウロフェウを入れ替え、それまで右のFWだったアンドレ・ゴメスを中盤に下げてスコアを1-1とした。
非レギュラー組のコンディション維持もうまい。
選手交替を成功させるには途中から出た選手の期待に応えるパフォーマンスが不可欠だが、これについてもバルベルデの“技”が効いているようだ。
ラスパルマス戦でプレイしたゴメスやロベルトが続くアトレティコ戦のピッチにも立ったように、彼は非レギュラー組にはたいてい2試合以上続けて出場機会を与えている。選手にとっては、心理面も含めて、コンディション調整が楽になる。