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監督就任100日間は「10点満点」
バルベルデとバルサの幸せな関係。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byAFLO
posted2017/10/28 09:00
ルイス・エンリケの後を継いだバルベルデ監督はバルセロナを成功に導きつつある。
思い切ったメッシへの全権委任も成功。
最後にもうひとつバルベルデの仕事ぶりで評価すべきは、メッシに対して示す敬意だ。
象徴的なシーンが見られたのは第4節ヘタフェ戦。負傷したデンベレの代わりに選んだデウロフェウを送り出す際、バルベルデは左サイドに立つよう命じたが、まもなくピッチの上でメッシは右へ行くよう指示した。
監督ならば腹を立ててもおかしくない。ところが「メッシを中心にプレイが展開されることに我々は喜んでいる」というバルベルデは、これを素直に受け入れたのだ。
昨シーズン終了後、「メッシを活かし、メッシに活かされる選手をメッシの周りに置くこと」こそがバルサ復活のカギと唱える記者がスペインには複数いた。バルベルデも実際にメッシを配下に置き、その才能を日々目の当たりにする中で、彼を気持ちよくプレイさせることが最重要事項と考えるに至ったのかもしれない。
いずれにせよ、いまのバルサはメッシを軸に昨季以上にまとまり、機能している。先週バルサTVに出演したバルトメウ会長はバルベルデの100日間について感想を乞われ、「カンプノウとソシオは彼と恋に落ちている」と語った。バルベルデ自身もこれまでの出来には満足しているようで、自ら採点するよう求められた際、「こういうのは高めの方がいい」と前置きしつつ「10点満点」と答えている。
ただし慢心はない。
「いまは物事がうまく運んでいるから何もかもが素晴らしく、みんな抱き合って祝っているけれど、たった1度のコーナーキックの失敗がすべてを台無しにすることも僕らは知っている」
指揮官がこの調子なら今シーズンのバルサはまだまだ強くなりそうだ。