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田中将大がもがいて得たNYの賛辞。
それでも「満足」を口にしない理由。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byAFLO
posted2017/10/24 17:00
ポストシーズンでは強打のアストロズを抑え込んだ田中。現地の評価は手のひら返しの連続だったが、期待度の高さの裏返しだろう。
勝っていればワールドシリーズ第1戦先発だった。
勝っていれば、ワールドシリーズ第1戦の先発も言い渡されていた。
だが「たら、れば」を言っても始まらない。まだ見ぬ戦いを経験することは来季以降に持ち越し。それを差し引いても、今年の経験は大きいと田中は言った。
「アップダウンもあって、苦しいことが多かったシーズンではありますけれど、今シーズンのことが後々『ああいうことがあったから自分が成長できたんだ』と、広い目で見たときに言えるように。それは今後の自分自身の頑張り次第だと思います。決して、無駄にしないで、今後につなげていきたい」
経験を糧に変え成長する。言葉で表現するのは容易いが、実践することの難しさは日々誰もが向き合っている。
「今シーズンが始まる前の自分とは明らかに違う」
ましてや、田中のいる世界は最高峰のアスリートのみが集まり、競う、メジャーリーグ。その中で彼はこの1年もがき苦しみながらもシーズン最後に素晴らしい結果へとつなげた。ここに今、彼が大きな評価を受ける理由がある。本人はその過程をこんな言葉で表現した。
「自分に今、立ちはだかっているものに対し、向き合わないとクリアすることはできない。乗り越えることはできない。その事実と向き合いながら常に前に進んでいく、向上していくという気持ちを常に持ってシーズンを戦ってきました」
その1年を田中はこう総括した。
「ひとつ言えることは今シーズンが始まる前の自分とは明らかに違う。いろんなことが、ものの消化の仕方じゃないですけど、うまくコントロールしていく方法というものを新たに学べたと思います」