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田中将大がもがいて得たNYの賛辞。
それでも「満足」を口にしない理由。
posted2017/10/24 17:00
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
AFLO
無念。
第5戦、田中将大が懸命に腕を振り、ヤンキースは8年ぶり40回目のワールドシリーズ進出に王手をかけた。
だが、あとひとつが遠かった。
最後の2戦、田中はベンチで応援団にまわることしかできず、悔しさを押し殺すように言った。
「いやもう……もちろん、残念です」
シーズン前にヤンキースのポストシーズン進出を信じたものは少なかった。それでも若手とベテランの力が噛み合い、チームはケミストリーを続けた。田中はそんなチームが大好きだった。
「シーズンに入る前は到底ここまで進めるチームだとは思われていなかった。シーズンの中でも順風満帆であったわけでもないですし、苦しみながらも自分自身でそれを打開して成長につなげている選手がたくさんいた。そういうことがチーム力の向上につながったと思います。
僕は非常にいいチームだと思ってプレーしていました」
被本塁打35と苦しんだがポストシーズンで快投。
今季は葛藤の連続だった。
被本塁打35はメジャーワースト4位タイ。前半戦は7勝8敗、防御率5.47と苦しんだ。それでも後半戦は6勝4敗、防御率3.77。公式戦最終登板からポストシーズン3試合、サイ・ヤング賞投手並みの投球は見事の一語だった。
9/29 対ブルージェイズ 7回3安打、無失点、15奪三振
10/8 対インディアンス 7回3安打、無失点、7奪三振
10/13 対アストロズ 6回4安打、2失点、3奪三振
10/18 対アストロズ 7回3安打、無失点、8奪三振
この間の成績は3勝1敗、防御率0.67。
ジョー・ジラルディ監督は最も大事な時期に見せた快投に「まさに我々が求めている投球。彼は見事にやってくれた」と称えた。