話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
「悪くない」を捨てる勇気が必要だ。
追い詰められた大宮、残留へ希望は?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byN.O.ARDIJA
posted2017/10/08 07:00
試合終了後、肩を落とす渡部大輔ら大宮イレブン。勝利を手にしたい気持ちは、誰もが一緒だ。
清水戦に光明がなかったわけではない。
大宮はどうか。解任された渋谷洋樹監督からバトンを引き継いだ伊藤監督が従来通りポゼッションを高めて試合をしようとしているが、そのスタイルで結果が出ていない。実際、トップ10のクラブからは浦和以外、勝ち星を挙げていない。これから上位との対決が多くなる中で、従来のスタイルを貫いて勝ち点3を獲得するのは極めて厳しいだろう。
また、今の攻撃陣で最多得点は7ゴールの江坂任だ。その次は4点のマテウス、7月に獲得したマルセロ・トスカーノはまだ1点しか取れていない。残留争いをしているライバルと比較してもFWの迫力不足は否めない。
この状況下でも、広島や甲府が生き残りのために見せているあらゆる努力を、順位が下の大宮がしなければならないのだ。
清水戦に光明がなかったわけではない。厳しい球際のプレーを貫き、前線の選手が素早く帰陣するなど、守備の意識が非常に高かった。もともと守備には定評があるチームだけに、あとは相手の隙を突いてゴールを奪うことに集中できる。それにフィットするシステムや選手起用を積極的に考えていくべきではないだろうか。
悪くないサッカーをしていたとしても、勝たなければ残留はできない。
その空気を換えなければ甲府や広島、北海道コンサドーレ札幌、清水を追い越すことは難しいのは確かだ。
次節となる横浜F・マリノス戦までの2週間は、様々なことを決断し、実行する最後のチャンスになるが……果たしてどのような選択をするのだろうか。