サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
ボランチ、CB、そして4バックの右。
万能・遠藤航をハリルはどう使う?
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph byTakuya Sugiyama
posted2017/10/06 07:00
W杯最終予選イラク戦で遠藤は中盤でプレーした。23人というW杯登録人数を考えれば、複数位置でプレーできる選手の存在は貴重だ。
逆サイドのクロスを跳ね返せる、という強み。
それに加えてサイドバックは、逆サイドからゴール前を狙ったボールが入ってきた際に、中央のヘディング要員の1人になるという役割がある。この状況を考えれば、センターバックとしてもプレーできるレベルの選手がサイドバックに入ることは、逆サイドからのクロスに対するチーム全体の強さを生む。遠藤自身も「逆サイドからのクロスを跳ね返す力がセンターバックだけでなくサイドバックにあることは守備の安定につながると思うので」と話す。
178センチの身長は、センターバックとしては高さの不安が指摘されることもあるが、サイドバックとして考えれば十分なものだ。こう考えてみれば、現時点で遠藤の能力を生かせるポジションとしてサイドバックは有力なものだ。
SBには酒井宏、高徳、長友らがいる中で……。
浦和が仙台戦を終えたところで遠藤は日本代表の活動に合流し、6日と10日に国際親善試合を戦う。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、チームの中核である長谷部誠を招集しなかったメンバーの中で、遠藤を守備的MFの一人として選出している。
遠藤はそれについて「代表だと中盤で呼ばれてまたポジションが違うわけで。守備の部分での貢献度は求められるし、長谷部さんがいない中で誰がやるのかを監督も考えたと思う。もちろん練習からアピールしたいし、ロシアに向けてもここから競争が始まると考えれば、チャンスは来るのかなと思う。やっていない分イメージしかできないんですけど、そのイメージと自分のプレーをどれだけ近づけられるのかが大事になると思う」と、クラブと代表でのポジションの違いを埋める必要があると話している。
その一方で、代表チームでも遠藤をサイドバックの一角として計算するのも1つの手なのではないだろうか。
現在の右サイドバックはフランスの名門マルセイユでレギュラーを確保している酒井宏樹が君臨している。長友佑都や酒井高徳も右サイドでプレーできるし、欧州でプレーする彼らの能力は疑いようがない。しかし、来年のワールドカップ本大会のメンバー構成を考えた時に、23人という枠の中には必ずユーティリティープレーヤーが必要だ。