“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
久保建英と平川怜は楽しんで勝つ。
U-17W杯優勝を本気で狙うために。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/10/04 07:00
東京五輪どころか近い将来A代表入りも噂される久保と平川。U-17世代であろうと、各国のライバルに負けるわけにはいかない。
「二度追いですら楽しそうにやってくれる」
このゴールで勢いづいたFC東京U-18は、2人のドリブルとスルーパスで次々とチャンスメーク。柏のトップ昇格が内定しているGK猿田遥己のファインセーブなどに阻まれたが、柏U-18に付け入る隙を与えない攻撃を見せた。
圧巻だったのは89分の平川のプレーだ。右サイドでボールを受けた平川は一瞬、積極的に仕掛けるプレーを選択するように見えた。彼の目線も中央のアタッカーに向いており、相手DF陣も身構えて中央を固めた。
しかし次の瞬間、平川は右サイドのコーナーフラッグ付近に柔らかなパスを送り込んだ。それに反応したチームメートが時間を使うボールキープを実行したわけだが、柏としてみれば完全に虚をつかれた形となった。
「2人とも今日も楽しそうに試合に入っていた。ハードワークをしながらクオリティーを出してくれた」
2-1でFC東京U-18が勝利した試合後、佐藤一樹監督は、久保と平川をこう評した。同時に彼らに対しての信頼も口にした。
「彼らには基本、シンプルな声掛けしかしないんです。細かいことを言ってしまうと、彼らの良さと発想が失われてしまいますから。もちろんサボったら怒りますが、全然そういうことがない。二度追いですら楽しそうにやってくれるし、本当に楽しそうにサッカーをしてくれるんです」
「ボールが落ち着かない状況だったので……」
彼らに“年代別代表だから”という奢りは皆無だ。出たからにはチームの勝利のために全力を尽くす。根っからのサッカー小僧だ。
「昨日の試合では結果は大差で負けてしまったのですが、自分の中ではJ3の上位を相手に手応えのあるプレーができたと思っています。なので、今日は自信を持って臨むことができましたし、コンディションは問題ありません」
平川は、前日に90分間フル出場した疲れを一切見せず、冷静に振り返った。
「ボールが落ち着かない状況だったので、自分たちで主導権を握るために僕が投入されたと思っているので、そこはできたと思います」